NHKのラジオ国際放送などで流れた中国人スタッフA氏の発言が波紋を広げている。8月19日、中国語で読み上げられるニュースでのことだった。A氏は、靖国神社の石柱に中国語とみられる落書きがされていたニュースを読み上げたあと、中国語でこう発言した。
〈釣魚島(尖閣諸島・魚釣島の中国語名)と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します〉
さらに、英語で、
〈南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな〉
NHK会長は「際番組基準に抵触する極めて深刻な事態」
22日に、NHKの稲葉延雄会長は自民党情報通信戦略調査会で陳謝し、報道陣に対し、「国際番組基準に抵触する極めて深刻な事態だと受け止めている」と謝罪。
“不適切発言”を繰り返したA氏とは何者なのか
NHKは25日になってA氏が靖国神社のニュースを読む際、〈『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた〉と、発言したことも新たに発表した。さらに、その翌日の26日にはNHK総合で5分間の謝罪番組も放送された。
A氏とは何者なのか。NHK関係者が語る。
「1975年生まれとのことで、中国の山西省出身です。日本に留学し、東京大学大学院総合文化研究科で文学修士となった。英語も流暢で、TOEICでは875点を取っています」
目立ったトラブルはなかったが…A氏が近しい知人に漏らしていた不満
そんなA氏が、東大時代から始めた仕事が中国語のナレーションだった。
「在学中の2000年頃からバイトで大手民間企業の中華圏向けのPRビデオのナレーターを行うようになりました。さらにその後、警察庁や経産省、内閣府といった日本の官公庁の中国語動画のナレーション業務も請け負っていた。また、香港のフェニックステレビでもレポーターの仕事をしていました。NHKの仕事は2002年から担当していますが、この22年間、目立ったトラブルはありませんでした」(同前)
しかし、以前からA氏は近しい人にこう漏らしていた。
「(NHKの)待遇は不公平だ」
さらにA氏は、尖閣問題についても語っていたという――。
8月28日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」及び8月29日(木)発売の「週刊文春」では、A氏が明かしていた尖閣問題への見解、NHKやフェニックステレビでの勤務実態、そして11年前にも起きていたNHKの外国語放送での尖閣をめぐる“事件”について詳報する。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年9月5日号)