台風10号が九州を直撃して一夜明けた30日、各地で大雨や暴風の被害が続々と明らかになった。東海や関東地方など広い範囲で大雨が降り続いており、交通も大幅に乱れている。
鹿児島県薩摩川内市東郷町の集落では、倒れた樹木約10本が市道を塞ぎ、22世帯が孤立した。同市消防局の職員が30日朝、住民から要望のあった水や保存食を持って集落へ向かった。安全が確認された後、市職員が住民の様子を確認する。
大分県国東市国見町では、29日に橋が崩落し、川の対岸の住人4世帯7人が孤立した。県によると、30日午前7時現在、国東市など3市の3地域で計9世帯13人が孤立しているという。宮崎県椎葉村でも道路の路肩決壊や倒木が相次ぎ、隣接する町村と結ぶ主要道路がいずれも通行止めとなった。
大分県由布市湯布院町では、町内を流れる宮川が氾濫。29日には最も危険度の高い「緊急安全確保」が出された。川の近くの旅館「由布院 六花」では同日午前8時頃、ロビーや調理場が浸水した。佐賀空港(佐賀市)では、制限区域を仕切るフェンスが130メートルにわたって倒れているのが見つかった。
交通機関への影響も広がっている。日本航空は30日午前8時時点で、同日の国内線287便が欠航。全日空も午前9時半時点で国内線346便の運航を取りやめた。
東海道新幹線は始発から全線で運転を見合わせ、東京―名古屋間は終日運休とし、山陽新幹線も30日は広島―博多間で終日計画運休。新大阪―広島間は大幅に本数を減らして運行している。
東京駅の東海道新幹線改札前では、運行状況を確認する観光客らの姿が目立ち、切符売り場は運賃の払い戻しなどを求める人で列ができた。ドイツから観光に訪れたレオン・ベンツさん(19)は、「バスも空席がなく、近くのホテルもいっぱいでどうしたらいいか分からない」と肩を落とした。