「知事はもう誰がなにを言っても聞かへん。自分が前面に出られるようなことだけは推し進めて、興味のないものは切り捨てる」──8月30日、兵庫県の「百条委員会」は斎藤元彦知事(46)への告発をめぐり、本人の証人尋問を行った。同委員会は、告発文書にあったパワハラ疑惑を裏付ける証言が得られたと明らかにし、職員へのアンケート調査をもとにした「中間報告」も公開していた。
この告発文書にはパワハラをはじめ、7項目にわたって疑惑が記されているが、その中には「井戸敏三(前知事)嫌い」に関する内容も含まれているという。「百条委員会」が県職員に対して行ったアンケート調査にも、これに関連した回答が数多くみられる。
〈文書の内容中「知事は年功者が嫌い、井戸前知事が嫌い」については、多くの話を聞いている〉
〈応援した4人が、不可解な人事で昇任され、井戸前知事派の幹部が左遷されていることは、庁内でも有名〉
〈井戸嫌い、年長者嫌いは庁内でも非常に有名。外郭団体等の役員で井戸前知事が関わらないよう要請したと職員間で聞いている。 また、五百旗頭先生ではないが、金澤前副知事を応援していた〇〇を嫌っているというのを聞いている〉
〈理事長のことではないのですが、告発文ではそれに関連して「井戸嫌い」のことが書かれていました。(中略)具体的には、〇〇、〇〇、〇〇です。井戸知事への報復人事としか思えないような左向き人事が繰り返し行われています。新しい知事から距離を置いたポストに転勤させるのは、一定やむを得ないと思いますが、その次の人事も酷いことになっています〉
斎藤知事の“前知事コンプレックス”
なぜ斎藤知事は前知事に対してコンプレックスを抱くのか。兵庫県庁のある関係者はこう明かした。
「なんの恨みがあってかわかりませんが、知事の井戸さん嫌いはすさまじく職員の間では名前を出すことさえもはばかられるようです。もともと、自分が前面に出られるようなことだけ推し進めて、興味のないものには見向きもしないタイプですが、特に前知事時代の政策に関してはバッサリと切り捨てまくっている 」
実際に斎藤知事は2021年に、井戸前知事が進めていた県庁舎の整備事業の一時廃止や一部の海外事務所の廃止を発表。さらに肝入りだった大規模アリーナの建設計画も凍結するなど、知事に就任した当初から前知事時代の政策に手を入れていた。別の関係者は知事に関する一連の疑惑を嘆きながら、こう漏らした。