県議会議員全員に辞職を求められている兵庫県の斎藤知事。この状況を地元の有権者はどう感じているのでしょうか?
“四面楚歌”全議員が辞職要求
加藤シルビアキャスター:兵庫県の斎藤知事、まさに四面楚歌というような状況になっています。12日は、自民党など4会派と無所属の県議が即時辞職を申し入れました。これで兵庫県議会の全議員86人が辞職要求をしたという状況になっています。
斎藤知事は「これからも政策を県民の皆様のためにしっかりやっていくことが大事だと思います。4年間の任期を務めさせていただくことが、県民からの負託の一つの大きなポイントだと思います」と語りました。
ホラン千秋キャスター:本当に県民のことを考えているのであれば、県民の代表として選ばれた県議会の皆さんが辞任をお願いしたところで、それが県民の思いと受け取るものなのかと思うのですが…
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:“二元代表制”で私も選ばれているのだからということなのでしょう。この問題の本質は“おねだり”などいろいろ言われていますが、要するに内部告発の動きを強権を持って押さえ込むという絶対にやってはいけないことをやってしまったわけです。
その責任をどう取るのか、未だにきちんとした説明がないですし、そもそも悪いとも思っていません。知事としての資格はないと議会も判断したので、それに対して辞任するか、最後まで強権的に解散に打って出るのかということです。
井上貴博キャスター:斎藤知事の行動基準と言いますか、首尾一貫している部分があるんだなとも感じています。自分の判断以外は何も顧みることはありませんし、道義的責任や前例は関係ありません。
問題は法的に可能かどうかなので“私は辞任しない”ということなのだと思います。斎藤知事が「多くの激励をいただいている、県民のため」と仰るのであれば、堂々と自信を持って出直し選挙に打って出て、勝てばいいのではないかと思うのですが…
星浩さん:霞が関に、たまにこういうタイプの人がいます。課長としては優秀で、部下や上司にも良いが、トップになったときにものすごく強権的になるという典型的なケースです。県民の選挙で選ばれたのだから何か文句があるのか?とずっと通してきているのです。
ところが4年間の任期の途中で悪いことをすれば、メディアや議会で様々なチェックを受けます。チェックを受けていることに対して反省がないという典型的なケースです。
井上キャスター:絶対的な権力を知事が持っているわけなので、“第二の斎藤知事”が生まれたときに、他の自治体を含めてチェック体制やルールは果たしてこれでいいのかなとも思います。
星浩さん:議会も、自民党と維新が元々斎藤知事を推していたこともあって、この3年間は甘い対応をしていたと感じます。最初の頃も、あまりこの問題を深刻に受け止めずに緩い対応をしていたので、結果的にどんどん知事の方が増長していったという経緯があると思います。
自民「不信任案」19日提出へ
加藤キャスター:不信任決議案の提出が今月19日に決まりました。議員の3分の2以上が出席し、出席した議員の4分の3以上の賛成で、議会で可決ということになります。可決となると、斎藤知事は10日以内に議会の解散か、失職かの判断を迫られます。議会解散なら県議選、失職なら知事選になります。県議選になった場合、新議会で「不信任決議案」が再可決されると、斎藤知事は失職という流れです。
ただ、どちらもお金がかかります。県議選では16億円、知事選では18億円で、双方行うと34億円という金銭的な負担があるわけです。
これに対する街の声です。
70代「議会解散よりも辞職すべき。16億円かかるんでしょ。ほかの議員も巻き込むことになる」30代「税金なので無駄なお金は無くしてほしい。子育て支援に回してほしい」40代「人として引き際が大事。ご自身のためにも辞職した方がいい」
ホランキャスター:こういった気持ちの部分が届いたらいいなと思います。このまま最終的に解散して、二度目の不信任決議案が出て辞職となるまで、斎藤知事は自分がやったことは間違ってなかったということを証明し続けるために突っぱね続けないといけないわけですよね。
星浩さん:ちょっと醜い駆け引きがあります。解散すると斎藤知事を推薦していた自民党と維新の県会議員もかなり選挙で苦しむわけです。ですから、自分に対して辞任要求は突きつけられないだろうと高をくくっていたところがありました。維新からするとそこは非常に弱いところだったのですが、結局は辞任要求、不信任案になるわけなので、醜い駆け引きはやめて一度出直すことに切り替える必要があると思います。
井上キャスター:今回、維新は完全に対応が後手後手に回ったなと感じるのですが、例えばこの一連の斎藤知事の話を見ていて、他の知事や他の自治体で、“まずい、うちも近いことが起きうるぞ”と思っている人がいるのか、レアケースなのか、どう捉えるべきなのでしょうか。
星浩さん:今の地方自治の仕組みからすると、どこでも起きやすいです。議会とメディアなどのチェックが弱いと知事の権限がどんどん増長していき、知事がつっぱれば何でもできるというようなことになりかねないので、その他の自治体に対する模範を示すといいますか、地方自治の緊張感を取り戻すためにもきちんとした対応が必要だと思います。
==========<プロフィール>星浩さんTBSスペシャルコメンテーター1955年生まれ福島県出身政治記者歴30年