《紀州のドン・ファン殺人公判》「バレずに殺せば正義 復讐代行」「覚醒剤 死亡」55歳年下妻・須藤早貴(28)が事件前後に検索していた“驚愕ワード”の数々

2018年5月24日、“紀州のドン・ファン”こと和歌山県田辺市の金融業・野崎幸助氏(享年77)が、急性覚醒剤中毒で死亡した事件。のちに殺人罪と覚醒剤取締法違反の罪に問われた55歳年下妻・須藤早貴被告(28)の初公判が、9月12日、和歌山地裁で始まった。
傍聴席に視線を向けることなく法廷に現れた須藤は、黒いノースリーブのワンピースに黒い靴下、黒いサンダル、白いマスク姿。黒髪は胸元の下あたりまで伸びている。罪状認否では、
「私は夫を殺していませんし、覚醒剤を飲ませたこともありません」
と、小さな声ながら、起訴内容を明確に否定。無罪を主張した。対して「財産目当てで野崎氏と結婚し、覚醒剤を使って完全犯罪を行った」とする検察側は、冒頭陳述や証拠の読み上げで、争点の「事件性」と「犯人性」を浮き彫りにしていく。
この日は、検察側から、須藤が事件前後にスマホやタブレットでインターネット検索したワードやYouTubeで視聴した内容が次々と明かされた。時系列に沿って紹介しておこう。
須藤が知人を介して野崎氏と知り合ったのは、2017年12月。当時22歳の須藤を一目で気に入った野崎氏は「月100万円」の小遣いを渡す約束で、彼女に熱烈なプロポーズをし、2018年2月8日、2人は“愛人婚”に至る。
前後して2018年1月24日。入籍前の須藤がGoogleアカウントでYouTube検索したのが、次のワードだ。
〈遺産目当てと言われた女たち5選〉
そして、入籍後の2月28日には、早くも〈完全犯罪〉を検索している。
検索ワードには、殺害方法を吟味しているかのような言葉が次々と
この頃、夫婦は野崎氏が田辺市、須藤が東京と住まいを別々にしていた。気の短い野崎氏は、いっこうに田辺市にやって来ない須藤に業を煮やし、離婚を考え始める。同年3月26日付で離婚届に記入、従業員ら2名が証人として署名した。須藤が田辺市で同居生活を始めるのは、その直後からである。
その後の検索ワードは、殺害方法を吟味しているかのようだ。
〈見ておくべき完全犯罪5選〉(同年3月26日)
〈トリカブト殺人事件〉(同年3月27日)
〈老人 完全犯罪〉(同年3月31日)
〈窒息死 袋〉〈不慮の事故〉(同年4月2日)
4月に入ると、事件に使われた“凶器”が登場し始める。
〈覚醒剤 過剰摂取〉〈覚醒剤 死亡〉〈警察24時 覚醒剤〉(同年4月7日)
この4月7日、須藤は覚醒剤の密売サイトにアクセスし、密売人と通話。致死量の3倍を超える3グラム以上の覚醒剤を注文していた。そして翌日の4月8日、和歌山県内で密売人と接触し、十数万円を払って覚醒剤とされる薬物を入手したのだ。
検索ワードも、より具体的になっていく。
〈殺す〉〈覚醒剤 死亡〉〈野崎幸助〉と検索
〈殺す〉〈覚醒剤 死亡〉〈野崎幸助〉(同年4月13日)
〈固定資産税10億円の家〉(同年4月20日)
〈遺産相続専門家〉〈無効とならない正しい自筆遺言証書の書き方〉〈妻に全財産を渡したい時の遺言書の文例〉(同年4月22日)
〈控除額とは〉〈相続税 海外口座〉(同年5月2日)
〈ランボルギーニ〉(同年5月22日)
4月20日と23日には、ロサンゼルス、ドバイ、パリ、ニューヨークなどで海外不動産販売に関する検索も。なお、須藤は4月19日に新しいスマホを購入。覚醒剤の密売サイトへのアクセスに使ったスマホは、5月8日に解約している。
そして、野崎氏が田辺市の自宅2階で怪死する5月24日。
〈老人 頭がおかしい 理由〉(13時16分)
〈税金のない国は存在する〉(17時15分)
〈ドバイ 税金〉(17時16分)
野崎氏が急性覚醒剤中毒で死亡したのは同日夜。覚醒剤成分は同氏の胃の中から検出されているが、経口摂取したとされる時間帯、野崎邸にいたのは、野崎氏と須藤の2人だけだった。
日付が変わった5月25日午前2時13分、須藤は〈Instagram一括削除〉と検索。以降は、何かの発覚を恐れるような素振りを見せつつ、自らが手にする遺産にも目を向ける。
〈バレずに殺せば正義 復讐代行〉〈AV 著作権 買い取り〉
〈警察 携帯 検索履歴 盗聴〉〈通信傍受 方法〉(同年5月27日)
〈遺産相続 どれくらいかかる〉(同年5月27日)
〈バレずに殺せば正義 復讐代行〉(同年5月28日)
〈覚醒剤 検挙率〉(同年6月3日)
〈海外 逮捕される〉(同年6月4日)
〈不起訴とは〉〈無罪〉〈昔の携帯 通話履歴〉(同年6月5日)
須藤は経歴を「モデル」と称して野崎氏と知り合っているが、事件直前の5月上旬、過去のAV出演歴が発覚していた。野崎氏の死後には、こんな検索も。
〈AV 著作権 買い取り〉(同年6月6日)
年を跨いで2019年にも、事件を連想させるような検索ワードが。
〈自白剤 痛み〉(同年3月4日)
〈殺人罪 時効〉(同年4月21日)
〈殺人 自白 無罪〉〈殺人 自白なし〉(同年4月28日)
野崎氏の死から1年が経過した同年5月24日には、
〈覚醒剤 現行犯逮捕〉
須藤が逮捕されたのは、野崎氏の死から約3年が経過した2021年4月。この間、同氏が残した約13億円の遺産を手にすることはなかったが、須藤は、野崎氏の会社の口座から約6800万円を個人口座に送金し、逮捕までに約5500万円を使っていたという。
公判はまだ始まったばかり。最長25回の審理の中で、今後、28人の証人が続々と出廷する予定だ。
〈 「AV作品4本に出演し約38万のギャラを…」“紀州のドン・ファン殺人公判”明かされた55歳年下妻・須藤早貴(28)の「AV出演の経緯」と「過去がバレた瞬間」 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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