【証言】元患者「上下関係があった」大牟田病院で抵抗できない入院患者に“体を触る”“殴る” 「虐待と思わなかった」見えない虐待なぜ どう防ぐ 福岡

国立病院機構 大牟田病院で入院患者にわいせつな行為をしたなどとして、当時の介護職員など男3人が11日、書類送検されました。障害のある人たちへの虐待は、なぜ繰り返されるのでしょうか。その背景を取材すると、職員と患者とのねじれた関係が見えてきました。
■大牟田病院の元入院患者
「病院自体が暗い、閉塞感のある感じだったので、 暗い病院だな、暗さを感じましたね。」
私たちの取材に応じたのは、大牟田病院に入院していたという男性です。
■元入院患者
「怒りにも近いですし、気持ち悪さみたいのもありますし。」
男性が怒りを隠せない事件。警察は11日、準強制わいせつや暴行などの疑いで国立病院機構 大牟田病院の看護師や、当時の介護職員など男3人を書類送検しました。入院患者に対し、体を触るわいせつな行為をしたり、頭を手で殴ったりした疑いです。
大牟田病院では、筋肉が徐々に衰えていく、難病筋ジストロフィーの患者などを専門的に受け入れています。
複数の自治体は、看護師や介護士4人の男性職員による、男女9人の患者への虐待行為を認定しています。
■福岡県 障がい福祉サービス指導室・和田 秀幸 室長
「いずれも1対1の状況で、病室であったり、入浴介助の場面であったり、 排せつ処理の支援の場面であったり。」
厚生労働省によりますと、障害者福祉施設の職員などによる虐待件数は1年間で全国で956件に上ります。なぜ、障害者への虐待が後を絶たないのでしょうか。
専門家に聞きました。
■福岡県立大学 人間社会学部・寺島 正博 准教授
「虐待の加害者の多くが、無自覚でやっているのではないか。何度も業務をやっていく中で倫理感が欠如して希薄していって、関係がねじれてるのではないか。」
実際、大牟田病院でも。
■大牟田病院・川崎雅之院長
「スキンシップの一環だったと言う職員もいます。通常の今までやっていた行為の一環として問題ないと考えたケースが多いと思います。」
また、虐待行為を直接見ていたほかの職員も「そもそも虐待と思わなかった」などとして病院側に報告していませんでした。虐待と認識されず、通報もされず、さらに繰り返される行為。
自身も筋疾患の難病で大牟田病院に入院していたという男性は「職員と患者との間で上下関係があった」と証言します。
■大牟田病院の元患者
「看護師と介護士に頼らないといけないような状況下にいるので、自分の意見はなかなか言いづらい。長期的に入院すると、看護師さん、介護士さんに嫌われても嫌ですし。」
自分で声を上げづらい障害のある人たちをどう守っていけばいいのでしょうか。久留米市にある「ゆうかり医療療育センター」を訪ねました。大牟田病院と同じ、重度の筋疾患の人たちが入院しています。
ここでは虐待を防ぐために、複数人での介助を原則としていて、夜間でも1対1になる状況をつくらないようにしています。また、年に2回の職員への研修を通して、虐待が起こらない環境づくりを目指しています。
■ゆうかり医療療育センター・泉 初美 看護課長
「教育することによって、現場でこういう場面はおかしいのではというところを挙げていただいて共有する。カンファレンスの場で情報共有する。そういったところはとても必要なことだと思います。」
大牟田病院は第三者委員会を設置し、再発防止策の検討を進めています。
■加藤雅大記者
「福岡県は今回の問題を受け、障害者施設などに対し、研修や通報体制の整備を改めて求めました。ただ人手不足が進む看護、介護の現場、限られた人員でどう監視の目を確保してくのか、課題は残ったままです。」
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年9月12日午後5時すぎ放送

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