判決裁判も傍聴…母親が初めてカメラに告白 すれ違った娘“頂き女子りりちゃん”との今後 更生に繋がるか

「頂き女子りりちゃん」を名乗り、男性から恋愛感情を悪用して1億円以上をだまし取るなどの罪に問われた女の控訴審で、名古屋高裁は9月30日、懲役8年6カ月を言い渡しました。被告の名前は渡邊真衣。裁判の中で声を上げながら涙を流す場面もありました。 渡邊被告が「頂き女子」になる過程で、大きな影を落としたのが母親との関係でした。裁判を通じて変化した2人の関係が更生につながるのでしょうか。渡邊被告の母親から話を聞くことができました。
■りりちゃんが度重なる面会で口にした「母親」の存在
判決まであと4日と迫った9月26日、名古屋市東区の名古屋拘置所で、東海テレビは改めて渡邊被告と面会しました。 <渡邊被告> 「『棄却です』って言われるんだろうな~。9年、変わらないのかな~」 一審の結果は覆らないだろうと、あのYouTubeと同じようなトーンで話していました。
東海テレビは、逮捕されてから22回の接見を重ね、渡邊被告からある人の存在を度々耳にしていました。 <渡邊被告> 「ママは裁判のことは聞いてこない。事件のこと、どう思っているのかな?情状証人は立ってほしかった。立ってくれなかった理由を、ママが勇気を出して私に話して欲しい」 渡邊被告の「母親」。自身の生い立ちから頂き女子になるまでを綴った87枚の手記では、家族の中でも特別な存在と明かしていました。
<渡邊被告の手記> 「私は母親のことが好きでした。唯一、心置きなく話せるのが母親だけだった」
■小学校の頃の出来事で溝…ホストにのめりこむように
2人の関係に転機が訪れたのは小学生の頃です。全身が赤くなるほどのアトピーで同級生から陰口を言われた渡邊被告は、母親に相談しました。
<渡邊被告の手記> 「『気のせいでしょ』と、母はそれだけ私に言いました。私はすごくすごくすごく、それが悲しかった。母親は私の心情に関してとても無関心で寄り添ってもらえたことがなく、そのことで何度も傷ついた」 好きだった母親から突き放されたように感じたという渡邊被告。
その絶望と孤独。そして満たされない承認欲求を抱えたまま成長すると、やがてホストにのめりこむようになり、頂き女子になったと綴られていました。
■記者に届いたりりちゃんの母からの手紙
これまでの裁判で、被告側として証言する情状証人に立つこともなく、一度も法廷に姿を見せなかった母親に、接触を試みました。 9月25日、渡邊被告の母親から記者に手紙が届きました。そこには、控訴審判決を前にした胸の内が綴られていました。
<母親の手紙> 「もうすぐ刑務所に行ってしまう。『ママ、助けて、助けて』ときっと心の中で叫んでいる。目の前にいるのに抱きしめてあげられない。9年。長すぎるよ」 娘との面会で涙を流したことや、母親としての想いが綴られていましたが、渡邊被告が望んでいた情状証人として法廷に立つことについては…。 <母親の手紙> 「情状証人で立てば、もっと短くなった?自分を守ってしまった私のせい?また、真衣を守りきれなかった私のせい?苦しい」
自問自答を繰り返し、渡邊被告が聞きたかった「理由」は明かされませんでした。 渡邊被告が頂き女子へと道を踏みはずしたきっかけの1つにあげた、小学生のころの出来事についても、私たちは母親に尋ねました。アトピーをからかった同級生たちのことについて…。 <渡邊被告の母親> 「知りませんです。言葉のイジメですか??暴力ですか?私に伝えたんですか?」
渡邊被告は私たちとの接見で、母親について…。 <渡邊被告> 「ママから欲しい言葉はもらえない。でも、変な世界に行って巻き込んだ私が悪い」 すれ違う2人の想い。しかし、渡邊被告は拘置所での生活を続ける中で、母親への想いに大きな変化が生まれていました。 <渡邊被告が母にあてた手紙> 「なんだかんだ、まいはままのことがすきで大好きで『ままいなくても平気!!』って強がっていたりするけど、ままが本当にまいの元からはなれたら大泣きしてしまう。ちゃんとはなしたいよ~。ごはんも食べ行ってふざけ合いたい。ままがすきだよ」
9月初めに渡邊被告が母親宛に書いた手紙。逮捕から400日以上。心のスキマを埋めてくれた歌舞伎町やホストと離れたいま、再び求めていたのは母親からの愛情でした。 手紙を受け取った母親も、記者に送った手紙の中で、被告への想いを綴っています。 <母親の手紙> 「早く私のもとに帰って来て欲しい」
さらに、罰金の返済に向けて動き始めたと明かしました。
■控訴審判決の日…初めて被告の母親が法廷に
ようやく気持ちが繋がり始めた2人。そして控訴審判決の30日、母親の姿は初めて法廷の中にありました。
渡邊被告と視線があったように見えた母親。涙を流し始め、その手はハンカチを握りしめていました。 田邊三保子裁判長: 「原判決を破棄する」 途中で泣き出した渡邊被告を、心配そうに見つめていた母親。わずかに刑が軽くなった判決に、強張った表情が少し緩んだようにも見えました。
■母親がカメラに吐露した後悔と娘との今後
そして、法廷を後にした母親が、東海テレビのカメラに胸の内を明かしました。
母親: 「初めて入ってみて、まずこれ(手錠)やっているじゃないですか、私は初めて見たから、そこから(涙が)ダーですよ。そんなのつけて入ってくるんだって」 Q.減刑されました 母親: 「率直にうれしかったです。(量刑が)変わらないと思っていたから、減らしてくれてありがとうございます」 Q.渡邊被告が過呼吸になりました 母親: 「あの時、ダーッと前に行っちゃおうかと。めっちゃ行きたかった。本当に連れて帰りたかったです。裁判長の話を聴いて、(被害者に)申し訳ないという気持ちはありました」 初めて、法廷で娘の姿を見た母親。情状証人として出廷しなかったことには、後悔の言葉も…。 母親: 「知識不足だったなって。最後の最後まで周りに反対されて、『私がぶっ倒れる』って。『それでも出る』って言ったけど『ダメ』って」 そして最後に、娘との今後については…。 母親: 「(出てきたら)一緒に住みたいです。それは真衣からの手紙にも来ているので」
誰かに愛されることを望み続けた渡邊被告。母親からの愛情を再び受け取り、更生の道を歩んでいくのでしょうか。

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