ススキノ首切断 裁判冒頭で瑠奈被告との会話の音声流れる「とっとと消えろ、てめえらを殺してやる…」3か月ぶりの証人尋問で修被告は何を語った?

去年7月、札幌市の繁華街ススキノのホテルで、当時62歳の男性が男性が殺害されて首を切断された事件で、逮捕・起訴された親子3人のうち、1日午前11時から、母親の田村浩子被告の4回目の公判が札幌地裁で開かれました。
裁判の冒頭で、弁護側は証拠として、事件前に修被告が録りためた娘の瑠奈被告との会話の音声を流しました。
音声には、瑠奈被告が英語で「I want to kill you.(お前を殺したい)」などと修被告をののしるようすが録音されていました。
また、去年1月に修被告が瑠奈被告を精神科に連れて行こうとする場面では、瑠奈被告が「とっとと消えろ、てめえらを殺してやる、ずっとそう思って生きて来たんだよ、私の妹と私は。あんたが私を苦しめて…」と発言。修被告が「今までと違う薬で違う効果が期待できるかもしれない」などと話すなど、2人で会話する音声も再生されました。
その後、修被告に対する弁護人からの証人尋問が3か月ぶりに行われました。
修被告はカーキ色のパーカー姿で入廷。その姿を見た浩子被告はハンカチで目元を拭い、上を向いて涙をこらえるようすを見せていました。
■修被告に対する弁護人による証人尋問(一部)
《事件直後》
――‐ 瑠奈被告が首を持ち帰って来た7月2日未明、自宅の玄関で瑠奈被告が「首を拾った」と話した。その時頭部は見ていない?
「膨らんだ黒いビニールは見せられたが中身の頭は見ていない。瑠奈本人がビニールを持って帰ってくる前に氷を買っていて2階の浴室に行く前に瑠奈が『氷を持ってついてきてほしい』と言ったからついていった。ついていった後もビニールの中は見ていない」
――‐ 首を持っていたかどうか…その時の気持ちは?
「ずいぶん前のことですし、唐突な話でびっくりしてよく覚えていないが…半信半疑。『そんなことないよな、でもな…』という気持ちだった」
《『シンシア』について》
――‐ 録音で「私の妹」と瑠奈被告が言っていたが、過去に妹がいたことは?
「ありません」
――‐ 「妹」は誰?
「瑠奈自身のことを指すのではないか。瑠奈の魂のこと」
――‐ 「妹を殺した」と言ったときの人格は『シンシア』?
「他にも人格はたくさんいるので、いちいち誰かは確認していないが、『シンシア』さんじゃないか」
――‐ 「てめーら殺してやる」のてめーらは親のこと?
「シンシアは私たち(親)の対応の問題によって瑠奈の魂が死んだと考えているので、我々を憎むような発言をしたのではないかと思う」
《瑠奈被告との関係について》
――‐ 実際に刺されそうになったりは?
「ない。親にナイフを振り回したりや、親以外の他人や動物もない」
――‐ 「殺す」という発言は事件の前にもあった?
「あった。実際に行動に移すとは特にそう思ってはいない。興奮が落ち着いたら普通に話せるし、具体的に我々に恐怖を感じることをさせたことがない。瑠奈の中で持っていきようのない気持ちがそうさせるんだろうなと思っていた。本人と確認したわけではないけれど、『これ以上生きたくない、死にたい、迎えに来てほしい』という『生きたくない』気持ちの裏返しで、『殺してやる』などの発言をしたんじゃないかと思ってる」
――‐ 瑠奈被告に「損壊をやめよう」とは言えなかった?
「日常生活の中で『これはまずい』ということはあったが、撮影を頼まれたときはほぼ損壊は終わっていて、ビンの中に入ったものを撮影したりしていたので難しかった。止められるところではなかった」
――‐ 「損壊はまた今度」とは言わなかった?
「もう、1つの目はくりぬかれた状態で、頼まれたのが夕方だったが、次の日朝、関西に出張する予定が入っていたので、丸2日家を空けることがわかっていて。そうなると撮影を浩子に頼む可能性が高く、浩子は損壊行為を考えただけでも身の毛がよだつ性格でとても耐えられないと思い、さっさと終わらせた方がよろしいなと思いました」
《被害男性について》
――‐ 被害男性を殺したのを聞いたのは?
「ない」
――‐ 5月28日に瑠奈被告が車に戻ってきたときに何を聞いた?
「カラオケと思ったらホテルに連れて行かれて酔った勢いでお持ち帰りされた。社会勉強と思ってよしとしている。その後相手から性行為の交渉があったのでスマホを押収して避妊具ありならならいいよと。4~5回やってラスト1回で途中で避妊具を外された。最初、被害男性はごまかしていたが、最後は『ごめん』と逃げるように帰っていった」
――‐ 社会見学とは?
「持ち帰りでホテルにというのが、ひとつの人生経験というニュアンス」
――‐ 瑠奈被告は、性行為に興味あった?
「あったと思う。多分この時が初」
――‐ 4~5日経過して瑠奈被告は被害男性に今後どうかかわると言うようになった?
「直接謝ってほしいと言うようになった」
――‐ 「謝ってもらいたい」について、どう受け取った?
「謝れば修復可能かな」
――‐ もう1度会おうしてるのはどう思った?
「時間と共にフェードアウトが1番いいと思った」
――‐ 被害男性を『シカ』と呼んでいた経緯は?
「詳しく覚えてないが、名前は知らなかった。娘から「探しに行く人を『シカ』と呼ぼうと言われた」
《SMの練習について》
――‐ 6月21日夜のSMの練習、どちらが言い出した?
「娘です。被害男性との次回の約束を決めた時から、前回は私が攻められたから、今度は私が攻めるの。SMプレイをするのと」
――‐ 練習にかける時間は? 「長くて1~2分」
――‐ 叩かれたりではない?
「ない。正座して手を後ろに、手錠をしてアイマスクをしているつもりでと。娘が後ろからあちこち触って、どう?と聞かれて、『見えないからぞくぞくするね』などとやり取りした記憶はある。そうすると娘は満足したようですぐに辞めた」
《ハイターとドールについて》
――‐ ハイターは取り調べとかでも出てきているが検索記憶は?
「ある」
――‐ 何のため?
「ドールの皮脂汚れを消せるのか質問があった。皮脂汚れをハイターで消していいのか調べた」
――‐ キッチンハイター、マジックリンハイター これもドールと関係?
「はい」
――‐ ドールについてそういうもの?
「良く入手しているのは…自分でパーツ決めて組み立てて自分好みに作り上げる人形」
――‐ 材質は?
「樹脂系だったと思う」
――‐ ドールの大きさ重さは?
「小さいのは30~40 大きいのは60~70ぐらい。重さは軽いので1キロちょい、重いのは3~4キロ」
――‐ 値段は?
「新しいのは数万~数十万」
――‐ 所持数は?
「本人自称1000体。それはないと思うけど2桁はある。150ぐらいはあるかと」
――‐ 1つ10万として1500万、瑠奈被告は働いておらず、なぜそれだけ買ってあげた?
「高値は多くなくて中古もある。1つは娘が気に入っている。メイクして理想を作る人形。作るのが彼女の生きがいで『作り終えるまで死ねない』。生きていてほしい」
――‐ 手袋は?
「常にしていた」
――‐ ハイターでドールが痛む心配があったので調べた?
「はい」
――‐ ハイターを瑠奈が本来の使い方をしたことは?
「あった」
《黒のスーツケースについて》
――‐ 何のために使うものだと思ってた?
「瑠奈は『中古で箱がないドールをまとめて入れるのにスーツケースだと一気に入って持ち運びが便利だから』と言っていた」
――‐ スマホ履歴で「耐荷重100キロ、耐荷重50キロ」とあるが?
「キロ数まで入力したか自分は定かではない。瑠奈から『耐荷重を調べて、出来るだけたくさん入るもの』と言われた。『耐荷重』だけ調べて予測変換で具体的なキロ数が出てきたか、自分で詳細まで打ったかは覚えていない」
――‐ 黒のスーツケースに何個くらいドールが入ったと思う?
「サイズにもよるが、2~30個は入ると思う」
――‐ 大き目のドールなら? 「15個くらい。50~70キロくらいか。クッションなくびっちり入れたらだけど」
《LINEのトーク履歴について》
――‐ 被害男性のことを消去したのはなぜ?
「関連するやり取りが目に入るのが不快だったからすべて消した」
――‐ 削除したのは「削除」か「送信取消」か?
「トーク削除に2種類あるのを知らなかった。『削除』で消した」
これまで3回開かれた母親の浩子被告の裁判で、浩子被告は「頭部の損壊を知ったのは、家に持ち込まれた後。あまりに異常なことで、娘を咎めることもできず、認めることもできず、何も言えませんでした」と、死体遺棄ほう助の起訴内容を否認。
さらに、ビデオ撮影についても「何を撮影するのか知らされておらず、とても耐えられなくて、助けを求める気持ちで、夫に撮影を依頼しただけで、犯罪を手伝う意思は全くなかった」と、涙ながらに死体損壊ほう助の起訴内容も否認しました。
弁護人も「頭部を瑠奈被告が自宅浴室に置き続けたことを認識していたが、容認するような発言を一切せず、ビデオ撮影しながら頭部を損壊する計画についても、抽象的に撮影を修被告に依頼しただけ」などとして、無罪を主張しています。
親子3人が共犯だと立証しようとする検察と、瑠奈被告の計画は「全く知らなかった」と主張する弁護側。
親子3人が事件にどうかかわっていたのか、検察と弁護側の攻防が続いています。
起訴状などによりますと、札幌市厚別区の無職、田村瑠奈(るな)被告30歳、父親で精神科医の修被告60歳、それに母親で無職の浩子被告61歳の親子3人は、去年7月、札幌市のススキノのホテルで、当時62歳の男性が殺害されて首を切断、頭部を持ち去られるなどした事件で、それぞれ下記の罪に問われています。
■田村瑠奈被告(30)=殺人、死体損壊、死体領得、死体遺棄・被害男性の首を、刃渡り約8.2センチの折りたたみナイフで何度も刺して殺害・殺害後、ノコギリなどで首を切断・頭部をキャリーケースに隠し、修被告が運転の車に乗って自宅まで運ぶ・刃物などで皮膚を剥ぎ取り、眼球などを摘出・その様子をビデオ撮影することを企て、浩子被告に依頼
■父親の修被告(60)=殺人ほう助、死体損壊ほう助、死体領得ほう助、死体遺棄ほう助・殺害目的などを知りながら、ノコギリ2本、キャリーケースなど12点を購入して瑠奈被告に渡す・犯行後の瑠奈被告を自宅まで運び、男性の頭部を隠すことを容認・浩子被告を介して頭部損壊の様子のビデオ撮影の依頼を受け、実行
■母親の浩子被告(61)=死体遺棄ほう助、死体損壊ほう助・被害男性の頭部を瑠奈被告が自宅に隠すことを容認・瑠奈被告から頭部損壊の様子のビデオ撮影を求められて容認、修被告に実行を依頼

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