クラシックカー投資詐欺…レストア業者が56億円もの巨額資金を集められたワケ

「クラシックカーの仕入れとレストア(復元)費用として投資すれば、6~7%を上乗せしてバックします」
クラシックカーの整備やレストア事業を手がけていた男は、ウソの投資話を持ちかけ、約70の個人・法人から口コミで約56億円を集めていた。そのうち30億円以上が償還されない恐れがあるという。
詐欺の疑いで1日、兵庫県警西宮署に再逮捕されたのは、東京都渋谷区広尾の自動車修理仲介業、室崎泰夫容疑者(42)。
室崎容疑者は2012年、神戸市東灘区に自動車の整備や販売を行う会社「STAR CRAFT」を設立。20年ごろから「中古のクラシックカーを購入して修理すれば、値段が上がる」などと顧客に持ちかけ、多額の資金を出資させていた。
「いい儲け話があるという情報が広まり、投資者が増えていった。表向きは、生産が終了したランボルギーニカウンタックやフェラーリ、ポルシェを買い付け、レストアして蘇らせ、再販売をするという話でした。その際、得られる利益を出資者に還元するということだった。ただ実際には仕入れたクラシックカーはわずかで、預かった金を他の投資家への償還に充てる自転車操業を繰り返していた」(捜査事情通)
■旧車マニアの間では知られた存在
投資者たちがコロッとダマされたのも無理はない。室崎容疑者率いるチームは「レストア&メンテナンスのプロ集団」として旧車マニアの間で広く知られており、入手不能になった部品は自動車の設計段階で使われる最新鋭の3Dスキャナーとプリンターを導入して製造。そこまで旧車復活に情熱を注いだのも、「世界中の旧車オーナーを救いたい」という思いからだった。
「室崎の手によって輝きを取り戻した往年の名車が自社工場やショールームにズラリと並び、それを見ただけで投資家たちはその腕を信頼していたようです。旧車のオーナーたちも成功者ばかりで、かつて憧れた名車を手に入れ、投資を惜しまなかった。復活を遂げた希少なクラシックカーの価値は上がる一方で、海外では高値で取引されている。そこに目をつけた室崎は不動産ファンドや投資信託の専門家と手を組み、クラシックカー投資を提案していた」(捜査事情通)
金に目がくらむことなくコツコツとレストアを続けていれば、誰に恨まれることもなく、出資者と愛好家の双方から感謝されたことだろう。

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