徳島県立「徳島文化芸術ホール(仮称)」の整備を巡り、徳島市議会は7日夜、遠藤彰良市長に対する問責決議案などを賛成多数で可決した。藍場浜公園(徳島市)での整備について、市長の一存で決定したことなどを理由に挙げている。市議会事務局によると、市長への問責決議案の可決は初めてという。(山根彩花)
後藤田正純知事と遠藤市長は9月14日、新ホールを市役所そばの市立文化センター跡地から、藍場浜公園に変更して整備することで合意。市議会が反発し、同25日の全員協議会で遠藤市長は「市長個人として同意し、市としての合意ではない」と説明した。だが、10月4日の総務委員会で遠藤市長は一転して「執行機関の判断」と発言した。
これらを受け、7日には市議18人が問責決議案のほか、県に対して慎重な対応を求める意見書、県市で締結した基本協定を破棄し、市が無償譲渡した同センター跡地の所有権移転を要望する決議の計3議案を提案した。3議案はいずれも18対10で賛成多数となった。
問責決議では「市長は議会や市民の声を十分聞いた上で県との協議に取り組むとしてきたのに、合意はその説明に反する」と主張。「短時間の協議で市長の一存で決定したことは看過できず、議会軽視の最たるもの」と非難した。決議に法的拘束力はない。
さらに、市議18人が県市の基本協定を締結や変更、破棄する場合は議決を必要とする条例案を追加提出して可決。県市は藍場浜公園での整備に向けて基本協定を改定する方針で、この条例が公布・施行されれば、今後の改定には市議会の議決が必要になる。
この影響で、午前10時に予定されていた市議会は約5時間遅れて始まり、7日中に閉会できず、会期を1日延長。8日午前3時40分頃に閉会した。
閉会後、遠藤市長は「市民の利益を考えて行動していたつもりだったので非常に残念。問責決議の文章は間違いが多く、納得できない」と主張し、「議員側への説明は十分にできていた」と強調した。
市議会は7日、市教育委員会が必要な議決を経ずに教員用指導教材を購入していた問題を受け、市長を減給100分の10、副市長、教育長、政務監をそれぞれ減給100分の5とする条例改正案を可決した。期間は11月の1か月間。