自民党の森山裕幹事長は31日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長と国会内で会談し、2025年度予算案などを巡り、公明党も交えて政策協議を始めることで合意した。早ければ11月9日に石破茂首相(自民総裁)と国民民主の玉木雄一郎代表の党首会談を行うことでも一致。玉木氏は「手取り収入を増やす政策」が実現しなければ政権に協力しないと表明し、党の主張の受け入れを迫った。
国民民主は衆院選で、所得税の負担が生じる「103万円の壁」を見直し、178万円に引き上げるよう主張。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も掲げた。自民は政府が11月の策定を目指す総合経済対策などに一部を反映させ、24年度補正予算案や25年度予算案の成立に協力を得たい考えだ。
「103万円の壁」見直しに関し、林芳正官房長官は31日の記者会見で、国と地方で計7兆~8兆円程度の税収減が見込まれると説明した。これに対し、玉木氏は国会内で記者団に「従来の財務省的発想だ」と反論。「全くやらなければ予算案も法律案も通らない」とけん制した。
玉木氏は政策活動費の廃止など政治改革の実現も要求した。
会談には両党の国対委員長が同席。榛葉氏は11月11日召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙で、決選投票も含め玉木氏に投票すると伝えた。与党は衆院選で過半数を割っており、首相と立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票にもつれ込む見通し。国民民主が玉木氏に投じれば無効票となるため、石破氏再指名の可能性が高まる。
会談で自民は「政調会長同士の会議体」を常設するよう提案。国民民主と政策ごとに連携する「部分連合」を形成し、政権安定を狙った。だが、榛葉氏は「各党と等距離で政策実現に当たりたい」と会議体を拒否し、案件ごとに担当者間で議論することで折り合った。榛葉氏は記者団に「部分連合ではない」と強調した。
国民民主は1日に公明とも幹事長、国対委員長会談を行う。
[時事通信社]