自民党と国民民主党は31日、個別の政策ごとに協議を進めることで合意した。自民としては国会運営に国民民主の協力を得る第一歩となったが、協議の日数は限られており、公明も含めた「部分連合」は綱渡りの展開が予想される。国民は独自政策が採り入れられない場合、他の野党と連携して石破内閣の打倒に回る可能性があり、政府・自民内の危機感は強い。
「(国民民主との党首会談は)土曜、日曜と関係なくやろうとなっている。日程調整を急ぎたい」
自民の森山幹事長は31日、国民の榛葉幹事長との会談後、記者団にそう強調し、その直後には小野寺政調会長に協議の段取りを具体化するよう指示した。
与党は政策協議を通じ、まずは11月中にもまとめる総合経済対策に国民の政策を取り込み、12月の臨時国会で今年度補正予算案の採決で賛成に回ってもらう道筋をつけたい考えだ。
もっとも、国民の玉木代表は年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の解消やガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除といった看板施策を優先する姿勢を示しており、31日の記者会見では「まずは補正の議論だが、同時並行で税制改正の方向性も見えないと補正への賛成も難しくなってくる」と述べた。「103万円の壁」解消策やトリガー条項は12月の税制改正大綱に反映する内容だが、11月中にも方向性で大筋合意できなければ協議をストップさせる可能性を示唆したものだ。
国民が「103万円の壁」解消策で提唱する基礎控除の引き上げは、林官房長官が31日の記者会見で「国と地方で7兆~8兆円程度の減収が見込まれ、高所得者ほど恩恵が大きくなる」と指摘するなどハードルも多い。ただ、政策協議がご破算となれば国民が内閣不信任決議案への賛成に回り、政権維持そのものが困難になる公算が大きい。政府関係者は「不信任に賛成と言わせないよう、ケース・バイ・ケースで調整を続けるしかない」と語る。
自民内では、国民だけでなく日本維新の会の協力も取り付けるべきだとの意見も根強い。ただ、維新は衆院選での敗北を巡って馬場代表の責任を問う声が出るなど党内が混乱しており、具体的な動きは進んでいないのが実情だ。
国民は政治改革を巡っても自民への要求を強める構えで、自民の政治改革本部は31日、政策活動費(政活費)の廃止や、政治資金を監視する「第三者機関」設置について、臨時国会中の与野党合意を目指す方針を確認した。国民が第三者機関を今年度中に設置するよう求めているためで、自民幹部は「間に合わせるためには臨時国会でやるしかない」と説明する。