浜松市浜名区のJAみっかびは9日、特産「三ヶ日みかん」の今季の初集荷を行った。今年は大量発生したカメムシ被害が懸念され、各農家は傷ついたミカンの選定により慎重さが求められた。AI(人工知能)を使った選果場の選別システムも活用し、高品質な実の出荷に努めている。
「カメムシ被害の傷を見逃さないよう確認するのに苦労した」。あるミカン農家はこう打ち明ける。
カメムシは果実に針状の口を差し込んで汁を吸う。同JAによると、柿や梨などが被害に遭うと変形したり表面が黒ずんだりする一方、ミカンは皮が厚いため、中身は黒ずんでいても表面の変色は2ミリほどと、外見で判断するのが難しいという。
今年は台風などの暴風雨で山を飛び出したカメムシが、果樹園に一気に飛来するなどし、8月には静岡県内の山中での調査で、平年の約4倍の個体が見つかった。
選果場では3年前から、AIを活用した最新の選別システムを導入。センサーやカメラで甘みや酸味、傷などを計測し、ミカンの等級分けや、傷のある実の排除が自動でできるようになった。担当者は「外見では分からない傷の見落としが防げる」と話す。
同JAでは来年4月上旬までに例年より2000トンほど少ない約3万トンの出荷を見込む。三ヶ日町柑橘出荷組合の森田能正組合長(62)は「本当に苦労した年だったが、糖度も酸味も例年並みの出来。安心して食べてほしい」と語った。13日頃から各店舗に並ぶ予定。