11月も中旬なのに青々としたモミジ、10月の高温で紅葉の見頃が遅れる…観光客は半袖姿も目立つ

全国的な猛暑となった今年、群馬県内の各地も厳しい暑さに見舞われた。暑さは長期化し、10月の月平均気温は全13観測地点で過去最高を更新。その影響もあって、紅葉の見頃も遅れている。
漆が塗られ、ピカピカに磨かれている本堂の床に、鮮やかな紅に染まった庭の木々が映る「床もみじ」で知られる桐生市川内町の宝徳寺。連日、多くの観光客でにぎわっているが、カメラに収めているのはまだ青々とした葉っぱだ。半袖姿の客も目立ち、金子英宗住職(58)も「紅葉狩りでコートやジャンパーを着ていないのは珍しい」と話す。
例年、11月15日頃に見頃を迎える床もみじだが、13日時点で色づいたのは2割ほど。千葉県松戸市から家族3人で訪れた自営業の男性(53)は「青葉でも十分きれいだったが、紅葉だったらもっとよかった。見頃になったらまた来たい」と少し残念そうだった。
見頃は20日以降になると見込まれており、金子住職は「このままだと、12月が紅葉の時期になってしまうのでは」と話していた。
前橋地方気象台によると、今年は6月以降暑かったが、下仁田町で9月20日、観測史上最も遅い猛暑日を14年ぶりに更新するなど、特に残暑が続いた。10月の平均気温は、伊勢崎市で平年を2・5度上回る20・1度など、全13地点で2度以上上がった。高気圧に覆われた影響だという。
気象情報会社「ウェザーマップ」の杉江勇次気象予報士は、10月の高温が紅葉の遅れにつながったと指摘。「季節の進み具合が2週間程度遅れたため、北日本から西日本にかけて紅葉の進行が停滞している」と話す。
前橋地方気象台が観測するカエデ類の木の「紅葉日」も、1953年の観測開始当初は10月下旬~11月上旬が多かったが、近年は12月が定番化した。同気象台は15日時点の標本木について「イチョウは黄色くなりつつあるが、カエデの色づきはまだ」としている。
気象庁によると、今月19日以降に上空に寒気が流れ込む影響で、県内でも強い冷え込みが予想されている。宝徳寺の床もみじを楽しめる日も近そうだ。
猛暑で農作物高騰、キュウリなど出荷減

今年の暑さは、農作物にも影響を及ぼした。
JA全農ぐんまによると、屋外で栽培される野菜への影響が大きく、9~10月のキュウリの出荷量は昨年より2割ほど減った。強い日差しで実が干からびたり、夜間の気温が下がらず実に栄養が渡りにくかったりしたという。ナスも暑さで花が落ち、8月の出荷量は昨年の約1割減。県野菜花き課によると、レタスの芯の部分が腐る「軟腐病」やキャベツやブロッコリーの葉が焼ける被害も出た。
出荷量が減ったことで価格は高騰した。青果市場を運営する前橋青果によると、9月以降のトマトの卸売価格は4キロ約4000円で、7月の倍以上となる日もあった。担当者は「ここ数年は夏の暑さで高値が続いている」と話す。今年は、キュウリも2割ほど値上がりした。
一方、関東農政局は今年のコメの収穫量(9月25日時点)は10アールあたり509キロで、平年値を11キロ上回るとの予想を発表。天候に恵まれて穂数がやや多くなったことが影響したという。

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