斎藤元彦・前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選は17日投開票され、斎藤氏が、前同県尼崎市長の稲村和美氏(52)ら新人6人を破り、再選を果たした。パワハラなどの疑惑を内部告発された問題で県議会から全会一致で不信任決議を受けた斎藤氏は、選挙戦で「改革の継続」を訴え、SNSを通じて支持を広げた。投票率は55・65%(前回41・10%)だった。
不信任を受けて失職した知事が再選されたケースは、2002年の田中康夫・元長野県知事以来、2例目。
兵庫県議会が百条委員会で疑惑の調査を進め、9月19日に「県政は停滞と混乱を極めている」として全会一致で不信任を決議。斎藤氏は同30日に自動失職し、出直し選が行われることになった。選挙戦では、内部告発問題で混乱した県政の再建や知事の資質、3年間の斎藤県政の評価が争点となった。
政党の推薦を受けずに臨んだ斎藤氏は、知事らを対象にしたハラスメント研修の実施などの再発防止策を打ち出し、県立大の授業料無償化などの政策を続けると訴えた。街頭演説などの動画を積極的にSNSに投稿し、終盤に支持を伸ばした。
一方、稲村氏は、告発者捜しをした斎藤氏を批判し、知事や職員を対象にしたパワハラ防止条例の制定などを主張。「県政を刷新する」と訴えたが、及ばなかった。
前回選で日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した県議会最大会派の自民党は独自候補を立てることができず、自主投票で臨んだ。公明、立憲民主、国民民主3党の県議らは、稲村氏を自主支援した。
問題を巡っては、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月、斎藤氏の疑惑を指摘した告発文書を匿名で報道機関などに送付。県は公益通報として扱わず、男性職員が告発者と特定した上で県民局長から解任し、5月に停職3か月の懲戒処分とした。