〈「なんで疑ってんの?」板橋・自殺偽装殺人で逮捕された会社社長が記者に“さぐり”電話…被害男性には給料の代わりに弁当で現物支給、電車には恐怖からか側面から飛び込み?〉から続く
電車の踏切内に会社の同僚を侵入させて電車に衝突させ、自殺に見せかけて殺害したとして殺人などの疑いで警視庁に逮捕された建築塗装会社「エムエー建装」の4人。社長の佐々木学容疑者(39)と共に逮捕された社員3人は、どんな人物なのか。
〈直撃〉「若いイケメン従業員がやった」逮捕前に記者の直撃に答えた佐々木容疑者
夜12時すぎに風呂で『ふんふーん』って鼻歌を…
昨年12月2日の深夜から翌日未明にかけ、佐々木社長ら4容疑者は同僚だった高野修さん(当時56歳)=板橋区=に暴行を加えて車内に監禁、板橋区徳丸の東武東上線踏切内に立ち入らせて電車と衝突させ、殺害した疑いで逮捕された。共犯の社員は年齢順に野崎俊太容疑者(39)=東大和市=、島畑明仁容疑者(34)=板橋区=、岩出篤哉容疑者(30)=小平市=の3人だ。
この中で一番年長で、佐々木社長と同い年の野崎容疑者の自宅は、西武鉄道多摩湖線武蔵大和駅から徒歩約15分の住宅街にあるアパート。築50年近くで間取りは2DK、家賃は5万円台だ。インターホンを押しても応答はなかったが、室内からは小型犬に特有の「クゥーンクゥーン」という鳴き声がずっと聞こえてきた。
近くに住む女性に野崎容疑者の印象を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「顔を見たことはありませんが、男性はいつも朝早く出て行ってましたね。朝5時30分くらいに、作業着を来て階段を降りていく後ろ姿を何度か見かけましたから。最後は記憶が定かではないけど、数ヶ月前にも出ていくところを見かけましたよ。部屋の前の外廊下に椅子が置いてありましたね。見かけるようになってからまだ1年経ってないと思いますよ」
別の住民女性も、こういぶかしげな表情を見せた。
「うちの主人が『警察が来て部屋から段ボール類を持ち出していた』と言っていたので事件のことは知ってます。ただ、住んでる本人の顔は見たことないんです。作業着姿の男性が出入りしているのは何度か見かけましたが、角度的にちょうど顔の位置が隠れるので服装と男性ということしかわかりませんでした。
何人で住んでいるのかもよくわかりませんが、作業着姿の男性が2人で帰ってきたこともありましたよ。ワンちゃんはいつもずっと鳴いてるんだけど、散歩とかしてる姿は見たことないですね。
あと、夜12時すぎとかにお風呂に入って『ふんふーん』って感じで鼻歌を歌っていたし、夜中でもけっこう音楽を鳴らしていましたし。最近の様子は覚えてないですね。最後に作業着の男性が出入りするのを見かけたのももう数ヶ月前ですし」
記者が今年5月に野崎容疑者と対峙した際は強面な外見ではあったが、「何で高野さんのことを聞くんですか?」としきりに記者に逆質問をくり返すなど、ナイーブな印象を受けた。
島畑明仁容疑者は妻子と同居していたようだ。同じマンションに住む男性がこう証言した。
「1~2年前くらいに引っ越してきたって挨拶にきましたよ。そう、テレビで出てる写真のまんまだよ。旦那と奥さんで挨拶に来たんですけど、他にも中学生の男の子と、もう1人歳の近い男の子がいるな。普段会えば挨拶するし別に普通の人だと思ってたよ。最後に見かけたのはちょっと覚えてないな」
別の女性住民は、事件後の“変化に”ついてこう話す。
「旦那さんについては体が大きくてちょっと強面の方で、ああいう感じの人が引っ越してきてたんだって思いました。奥さんと男の子2人の子どもがいますよ。たぶん中学生くらいだと思う。
特にトラブルとかはないんですが、今年の2月前くらいにカバンを持った4人の男性が訪ねてきて、何度も名前を呼びながらドアを叩いていたことがありました。そのときは税務署の人たちかなと思ったんですが、その人たちはその場で『たしか子供いたよな?』などと話し合っていました。
島畑さんの家はそれまで、窓のカーテン越しにでも在宅してれば光が漏れてわかったんですが、その方達が来て以来、遮光カーテンなのかまったく光が漏れなくなってたんで何かあったのかなとは思っていたんですよ」
3人の中で最も若い岩出容疑者は野球ではちょっと知られた存在だった。東村山市立中学時代は硬式野球の選抜チーム「東村山リトルシニア野球協会」で主将を務め、台湾で行われた国際親善試合にも出場。高校は甲子園出場経験のある強豪の東亜学園に進んで捕手として活躍、強肩強打で2012年のドラフト候補にものぼったほどだ。
ちなみにこの年のドラフトでは大リーグ挑戦を表明していた大谷翔平(花巻東)を北海道日本ハムファイターズが強行指名して話題になった。岩出容疑者は結局指名されず、明星大学に進学して野球を続け、卒業後も競合軟式チームで野球を続けていた。
佐々木容疑者は5月の直撃取材の際、高野さんへの暴行についてこう話している
「(高野さん)本人が言い出したんだ。もし何か仕事で失敗した時はケツの穴に棒を突っ込んでほしいって。俺はやるの嫌だから他の従業員がやるんだけど、棒というか現場で使う蛇腹みたいなのがあってね。それをケツの穴に突っ込むんだが、最初は罰になるならって思っていたんだ。けど、よくよく見てみると嫌がっているようには見えないって気付いた。やったのは若いイケメンの従業員」
名前こそ話していないが、それは岩出容疑者の可能性が高い。愛犬家、家庭がある小心男に元野球少年、3人は何故“残虐な事件”に加担したのか―。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班