2023年7月、札幌・繁華街ススキノのホテルで男性会社員（62＝当時）が殺害され、頭部を持ち去られた事件。逮捕された親子3人のうち、母親の無職・田村浩子被告（61）の第7回公判が12月12日に開かれた。浩子被告は、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われている。
殺人と死体損壊罪に問われている娘の瑠奈被告（30）は、20歳を迎える頃から、自身に複数の人格が入り込んでいるという“ゾンビ妄想”にとらわれて、「瑠奈と呼ばないで」や「田村瑠奈は死んだ」などと言うようになったという。
「シンシア」や「ルルー」、「ベイビー」など、目まぐるしく人格が入れ替わる娘をどう呼ぶべきか、浩子被告は悩んだ末に「お嬢さん」と呼ぶようになった。
「最初の頃、何度か私が（名前を）間違えて、娘が不安定になった。できるだけ名前を呼ばないで済ませられないかと考えて、昔、私が兄に『お嬢さん』と呼ばれていた時期があったので、これは呼ばれても嫌な気持ちにならないと思い、そう呼んでいました」（第7回公判での浩子被告の発言、以下同）
娘は娘で、父親のことを「ドライバーさん」、母親のことを「彼女」と呼んでいた。弁護人から「なぜこうなったのか、どうしたらいいのかと修さんと話したことは？」と質問されて、浩子被告はこう答えた。
「突き詰めて深刻に対策を練ったことはないですが、私はできるだけのことをしようと（していた）。夫は夫で、各々でベストを尽くして対応していたと思います」
両親はベストを尽くしていたというが、それでも瑠奈被告の突飛な言動は止まらなかった。瑠奈被告のオカルトへの興味に話題が及んだとき、“禍神（まががみ）さまの修行”について明かされた。
「（娘は）精神世界がオカルトと被っていて、いろいろ神さまたちがいたり、お祓いする人と交流していた。
『禍神さまが現れた！』と言い、何かと聞くと説明してくれました。禍神さまに次々と“課題”を与えられて、クリアしなければいけないと。『精神世界で戦っている。日ごとに課題がきつくなってる、最後までできるかわからない』と弱音を吐いていて、疲れきっているように見えました」
浩子被告は、「娘はお祓いができる。実際にやって、謝礼をいただいたこともある」と明かす。瑠奈被告は店内での怪談ライブを売りにしたバーを訪れていたが、それも怖い話目当てというより、「（ライブに出る）怪談師は一般の私たちに見えないモノを見える人なのか、資質を見極めたい」という独特の理由だったという。
母・浩子被告が見ていた「妄想上の恋人」