自民、公明両党は20日、2025年度の与党税制改正大綱を決定する。「年収103万円の壁」の引き上げでは国民民主党と合意できず、所得税の非課税枠を103万円から123万円に引き上げるとの自公案を明記する。政府は与党大綱を踏まえ、25年度の予算案と税制改正関連法案を作成する一方、自公は今後も国民民主との協議を模索する。
非課税枠の103万円は、全ての人に原則一律で適用される基礎控除(48万円)と、会社員らの給与から差し引く給与所得控除(最低55万円)という二つの減税措置を合わせたものだ。
大綱では、25年分から48万円と55万円をそれぞれ10万円ずつ上げ、合わせて123万円とすることを明記する。非課税枠が103万円となった1995年からの物価上昇率などを基に算定したという。
国民民主は、95年からの最低賃金の上昇率を基に103万円を178万円に上げるよう求めており、大綱では、将来的に178万円への引き上げを目指すことも付言する予定だ。
大綱には、高校生年代(16~18歳)の子供がいる親の所得税負担を軽くする「扶養控除」という減税措置を維持することも盛り込む見通しだ。政府・与党は今年10月の児童手当拡充に合わせて扶養控除を縮小する方向だったが、子育て世帯に配慮して先送りする。
大学生年代(19~22歳)の子供がいる親の「特定扶養控除」でも、子供の年収要件を103万円から150万円に引き上げる。大学生がアルバイトなどで年収103万円超になると、親の税負担が増えることが問題視されたためだ。
防衛力強化の財源を確保する増税は、たばこ、法人の2税について2026年4月から始める。ただ、所得税の増税については、個人への負担増との批判が出る可能性に配慮し、今回は開始時期を決定せず先送りすることにした。