自衛隊が「特定秘密」を違法に取り扱っていた問題で、隊員が防衛省と防衛装備庁の間を人事異動で行き来する際に必要な手続きを怠るなど、新たに約100件の不正行為が確認されたことが政府関係者への取材でわかった。近く調査結果を公表する方針で、関係者を順次処分する。
政府関係者によると、本省に勤務する陸自や海自隊員が、装備品の研究開発を行う防衛装備庁に出向して特定秘密を扱う場合は、すでに適性評価を受けて資格を得ている場合でも、改めて取り直す必要がある。本省に戻るときも同様だが、手続きをしていない事例が多数確認された。担当者らが特定秘密保護法の解釈を誤っていたことが原因という。
同様のケースは空自で確認されており、同省は7月に公表した。だが、こうした対応が不正にあたるとの認識は省内で共有されておらず、改めて調査したところ該当する事例が発覚した。
一連の調査では、特定秘密を含むデータを規則に反してUSBメモリーに保存したり、誤って破棄したりした行為も見つかった。
防衛省は7月、海自の艦艇部隊で特定秘密を違法に取り扱うなどの事例が58件あったとして、事務次官や統合幕僚長を含む約120人を処分した。
◆特定秘密=2014年施行の特定秘密保護法が指定する外交や防衛、スパイ・テロ防止分野で特別に秘匿が必要な情報。家族関係や経済状況などを確認する「適性評価」を受けなければ取り扱うことができない。漏えいした場合、最高で懲役10年の刑事罰が科される。
海自不正受給は80人追加処分へ
海上自衛隊の潜水士が潜水手当を不正に受給していた問題で、防衛省は近く、新たに約80人の追加処分を公表する。政府関係者への取材でわかった。同省は7月、この問題で74人を処分し、不正受給の総額が5300万円に上る見込みと発表。その後も調査していた。