特定危険指定暴力団「工藤会」構成員激減の背景…2008年のピーク時の20%以下

ピーク時の20%以下まで激減した。
暴力性を伴い、企業や市民にみかじめ料などの不当な要求を繰り返すことなどから、全国で唯一の特定危険指定暴力団に指定されている工藤会(本部・北九州市)。その構成員数が昨年末時点で230人(前年比20人減)と過去最少を更新したと今月9日、福岡県警が発表した。
「工藤会は過去には暴力団追放運動に携わっていた人物の関係先に手榴弾を投げ込むなど、一般市民に対してもその暴力性を隠そうとしない。警察は約10年前に“頂上作戦”を開始。総裁である野村悟被告(北九州元漁協組合長射殺事件などで無期懲役判決。現在、上告中)ら幹部を逮捕した。トップらの長期不在で組織維持が困難となり、2008年のピーク時には1210人いた構成員の数は年々減り続けています」(県警担当記者)
■今なお変わらぬ危険性
トップ不在となって以降も警察は構成員らに職務質問を繰り返すなどして、微罪でも次々と逮捕。
工藤会の構成員数が減少したのは、そうした当局の10年にわたる執念の成果が「じわじわ表れている証拠ではないか」と前出の記者はこう分析する。
「構成員減少の要因には、暴排条例により、シノギがやりにくくなったことや構成員の高齢化なども考えられますが、警察、司法が一体となった工藤会への包囲網が功を奏したと思われます。ですが、構成員が減少しても、暴力性は変わらない。当局の警戒心が解けていない一端を垣間見たのが、幹部である田中幸雄被告が関与したとして、殺人罪などで逮捕、起訴されている『王将フードサービス』の元社長が本社前で殺害された事件の裁判です」
昨年、京都地裁は裁判員に危害が加えられる恐れがあるとして裁判員裁判の対象から除外することを決めた。
「3年前に福岡で逮捕後に京都府警に移送する際も、田中被告を乗せたSUVは防弾仕様。600キロ以上に及ぶ道中は8台の車両が前後を挟む異例の厳戒態勢でした。工藤会が今なお、危険な組織であることを物語っています」(前出の記者)
警察は引き続き工藤会の動きを注視しているという。

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