法廷で「死刑で償うべき」発言も自ら控訴の青葉被告、揺れ動いた心境 京アニ放火殺人事件

令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、1審京都地裁で死刑を言い渡された青葉真司被告(46)が控訴を取り下げていたことが28日明らかになり、平成以降最悪の犠牲者を数えた事件の刑事裁判が終局を迎えた。自身も重度のやけどを負い、1審の裁判員裁判に車いすで出廷した被告。法廷で自らにふさわしい刑罰は「死刑」と言及する場面もあったが、心境の揺れものぞかせた。
検察官「(遺族や負傷者の)供述調書で『極刑を求める』『命をもって償うべきだ』との言葉が出てきたのを覚えているか」
被告「覚えている」
検察官「どう思うか」
被告「その通り、それ(死刑)で償うべきだと思います」
結審直前に行われた令和5年12月の被告人質問。直近の審理で、多くの遺族や負傷者が被告に対する強い処罰感情を陳述し、それを聞いた被告は極刑を受け入れる覚悟をにじませていた。
別の期日の被告人質問では、精神鑑定を実施した医師に対し「極刑以外ありえない。(裁判を)早く終わらせたい」と発言したことを認める場面もあった。
ところが、翌年1月に実際に死刑を言い渡されると、弁護人の控訴とは別に、自らも判決を不服として控訴する手続きをとった。拘置所で面会した遺族によると、自身の考えが精神鑑定医から「妄想」と判断されたことに不満を示し「自分としても発信したい」などと控訴審への意欲を語っていたという。
関係者によると、被告側は、刑事責任能力を認めた1審に誤りがあるとする控訴趣意書を大阪高裁に提出。控訴審でも引き続き刑事責任能力の有無が争点になるとみられていたが、今月27日に被告は自ら刑事裁判に終止符を打った。
被告の心境は143日間に及んだ1審の公判中も揺れ動いた。審理中盤までは、京アニに自作小説のアイデアを盗用されたとの妄想に執着し、遺族の代理人に「京アニがしてきたことは全部不問になるのか」と気色ばんだことも。だが審理終盤には「あまりにも浅はかだった。後悔が山ほど残る事件になった」と反省の言葉も口にしていた。

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