天然ガス生成のナゾ、2種類の微生物が関与…増産技術へつなげられる可能性

海洋研究開発機構や産業技術総合研究所などのチームは、二つの微生物が連携して天然ガスを作る新たな生成過程を発見したと発表した。天然ガスを増産する技術の開発につながることが期待されるという。論文が科学誌ネイチャーに30日、掲載された。
天然ガスの主成分メタンは、地下深くに存在する古細菌(アーキア)が、水素や酢酸などから生成していることが知られている。古細菌の中には、多くの生物にとって有毒なメタノールを原料にしてメタンを作る種類もいるが、なぜメタノールが地下に存在するのかなど、詳細は不明だった。
チームは、地下の油田から見つかったバクテリアと古細菌を一緒に培養した。その結果、バクテリアが、動植物の死骸などから作られる「ギ酸」という物質からメタノールを作っていることが判明。古細菌がこれをもとにメタンに変化させていた。二つの微生物が共生することで、効率的に天然ガスが作られていることが分かったという。
チームの延優・同機構主任研究員は「微生物の機能を活用すれば、石油が回収しにくい油田などから、天然ガスを取り出す技術につなげられる可能性がある」と話す。
東京大学の鈴木庸平准教授(地球微生物学)の話「地下に存在するメタノールの起源はこれまでは謎だったので、非常に興味深い研究成果と言える。将来的には、メタノールやメタンを工業的に生産する技術につながる可能性もある」

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