自身が所長を務める法律事務所で、誤字や報告漏れ、クレームなど18項目の罰金制度を設け、部下の弁護士に650万円超を支払わせたとして、大阪弁護士会が男性弁護士を戒告の懲戒処分にしたことが4日、分かった。処分は1月21日付。
同会によると、罰金の内容は、提出書面の誤字脱字(1文字につき500円)▽書面の重大な誤り(2万円)▽依頼者へのメール送信時の男性弁護士のBCC・CC漏れ(5千円)▽依頼者からの厳しいクレーム(5万円)▽遅刻(5分ごとに2千円)▽電話の居留守(5千円)-など。
部下は制度が導入された令和3年6月からの約半年間で、給与を大きく上回る656万円超を支払った。4年1月に退職届を提出し、その後、適応障害と診断された。
男性弁護士は同会の調査に対し、罰金制度は勤務態度を改善させるためで、部下も了承し、自発的に申告していたと主張。罰金は事務所を退所する際に餞別(せんべつ)として返還するつもりだったと弁明した。部下が懲戒請求を行った後の昨年11月に返金したという。
しかし、同会は罰金制度を運用する中で、教育的な指導を継続していた形跡がうかがえないと指摘。パワーハラスメントとの評価は免れず、「弁護士としての品位を失うべき非行」にあたると結論付けた。