国民とズレまくる石破首相の政治感覚…進めるのは「国民に受けないこと」ばかり、差別主義者の参院候補は満面の笑みでお出迎え

「普通の大臣の何倍もしんどい。なんせしんどい」「新聞読んだら誰も褒めてくれないし、ネット見たら何だか本当、悲しくなるし。寝る時間はほとんどないし」
産経新聞は昨年12月27日付の紙面で、総理就任から3カ月経った石破茂首相(67)が東京都内の講演でこうボヤキ交じりに語った、と報じていたが、今月の党会合や党大会の言動を見る限り、誰も褒めないのも無理はないだろう。政治に対する認識が世論感覚とかけ離れているからだ。
「国家のためには、受けないことでもやらなければならない。受けることばかりやっていると国は滅びる」
8日の党会合でこうあいさつした石破首相。賛否両論あるものの、政治がポピュリズム(大衆迎合主義)に走るのは良くないという主張は理解できる話だ。ただ、とりわけ第2次安倍政権以降、政権政党だった自民党が何をしてきたのかといえば、国民に「受けないことばかり」ではないのか。
例えば、歴代内閣が継承してきた「集団的自衛権の行使」を憲法違反とする政府解釈を閣議決定でひっくり返して容認に舵を切ったほか、特定秘密保護法や共謀罪など、多くの国民が反対の声を上げた政策を次々と強行採決。そして消費増税を繰り返し、異次元緩和を進めてきた。
その結果、国民生活がどうなったのかと言えば、実質賃金は減り続け、資源高と物価高に苦しみ、想定より15年も早く少子高齢化を招くなど、今や「滅び」に向かってまっしぐらだ。
「国民に受ける」ことはしないが、「財界や大企業、富裕層に受ける」ことには力を尽くす。過去最高の税収を更新し続けているにもかかわらず、法人税率は引き下げられたままで、金融所得課税も手付かずだ。SNS上で《大企業や富裕層に受けることばかりやっているから、国や国民が滅びているのでは?》との声が出ているのも当然ではないか。
■「差別発言」も「裏金」も容認したと言っているに等しい
さらに石破首相は9日の党大会で、「国民の皆さまは政治を信じていない。そのことをひしひしと感じている」と言っていたが、国民は「政治」を信じていないのではなく、「自民党」を信じていないのだ。それは党大会で、今夏の参院選比例代表の公認候補として前衆院議員の杉田水脈氏(57)の名前が呼ばれた状況からも言えるだろう。
杉田氏といえば、国連女性差別撤廃委員会の参加者を「アイヌの民族衣装のコスプレおばさん」などとブログで侮辱し、2023年に札幌法務局などから「人権侵犯」と認定された人物だ。過去の差別発言を指摘され、22年12月には総務政務官(当時)も更迭された。

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