学校法人森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられて自殺した職員の妻が佐川宣寿元理財局長に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は妻側の上告を退けました。賠償責任を認めない判決が確定しました。
近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は、森友学園との土地取引を巡る公文書の改ざんを指示され、2018年に自殺しました。
妻の雅子さんは2020年、俊夫さんが自殺した経緯や具体的な改ざんの指示を明らかにするため、国と佐川元理財局長に損害賠償を求めて裁判を起こしていました。
1審の大阪地裁は佐川氏の賠償責任を認めない判決を言い渡し、2審の大阪高裁もこれを支持していました。
雅子さん側は上告していましたが、最高裁は12日付の決定で退けました。
これで佐川氏の賠償責任を認めない判決が確定しました。
この裁判を巡っては、佐川氏とともに訴えられた国は雅子さん側の請求を受け入れる「認諾」を表明して、裁判を終わらせています。
雅子さんは決定を受け、以下のようにコメントしました。
「このタイミングでの最高裁の判断はとても悔しい。財務省からの情報が出れば、新たな主張もできたと思う。佐川さんが個人責任を負わないなら、夫と同じように職場で追い詰められて自殺する公務員がまた出てくるでしょう。訴訟は終わりですが、本当のことを話してくれるよう、働きかけを続けたいと思う」