大阪府枚方市で交際中の女子大学生を刺殺したとして、大阪地裁で懲役22年を言い渡された無職の男(27)。男は上訴権を放棄し、控訴しなかったため、懲役22年の判決が確定しました。
判決によりますと、西光勝被告(27)は去年5月に大阪府枚方市で、交際していた大学2年生・渡辺華蓮さん(当時19)を、包丁で複数回突き刺すなどして殺害したほか、渡辺さんのノートパソコンを窃取するなどしました。
▼「多額の収入がある」と騙し被害者と交際
2月の裁判員裁判では、西光被告が虚飾を重ね、身勝手な殺害に至った経緯が明らかになりました。
渡辺さんと出会い、「多額の収入がある」と騙したまま交際したこと。“同棲するためのタワーマンションを契約する”などの嘘もついていたこと。
親に嘘をついてまで借金を続けていた結果、誰からも金を借りられなくなり、渡辺さんに“一緒に死んでほしい”と考えたこと。
当時の心境について西光被告は、法廷で時折涙を流しながら、こう振り返りました。
西光被告「華蓮さんが思い描いていた僕で終わらせたかった」「自分のものにしたかった」
Q.なぜ自分のものにしたかった?
「華蓮さんが他の男の人と幸せになるのが嫌だった」
Q.なぜ自分は死ななかった?
「怖くなった。勇気が出なかった」
▼殺害後にホテルで性風俗を利用… 最終陳述で「どんな刑でも一切控訴せず、一生償っていく」
法廷では、西光被告が渡辺さんを殺害した後の行動も明らかになりました。
殺害後、西光被告は部屋から渡辺さんのノートパソコンやスマートフォンなどを持ち出し、そのうちパソコンは6万円あまりで業者に売却したといいます。
Q.なぜパソコンを売ろうとした?
「飛び降り自殺をしようと考えて、ホテルを調べました。『バンジージャンプとか好きだからいけるわ』と思って」
「パソコンを売って、ホテル代にしようと思いました」
その後、大阪市内に移動し、渡辺さんのスマホを使った決済で、マウスウォッシュや整髪剤、菓子や酒などを購入。ホテルで無店舗型風俗を利用したこともわかりました。
Q.なぜデリバリーヘルスを利用?
「現実逃避するために。何か性的なことを考えると、問題から逃げられる(という)ような頭になっていて…事件と向き合わなかったことは、今は情けない、ありえないと思います」
西光被告は最終陳述で「どんな刑でも私は一切控訴せず、一生償っていきます。本当に申し訳ございませんでした」と立ち上がり、遺族に謝罪していました。
▼「自身の見栄やプライドのために命を奪うという動機は身勝手極まりない」検察の求刑通り懲役22年の判決
大阪地裁(三村三緒裁判長)は2月28日の判決で、「遺体には62か所もの傷があった。被告は必死に抵抗する被害者に攻撃を繰り返し、確実に殺害しようとした」と強い殺意を認定。
「返済を先延ばしにするためについていた嘘が限界に達し、ばれることは耐えられないとして殺害に至った。自身の見栄やプライドのために命を奪うという動機は身勝手極まりなく、強い非難に値する」と指弾し、検察側の求刑通り、西光被告に懲役22年を言い渡していました。
▼遺族「裁判所は思いをくみ取ってくれた。しかし懲役22年は納得できるものではない」
判決を受け、渡辺さんの両親は次のようにコメントしていました。
「裁判所は、我々の思いを十分くみ取ってくれたと思います。しかし、期間を見れば、懲役22年は、納得できるものではありませんでした」
「娘は身勝手に命が奪われて、犯人はやがて社会に戻ってきます。どんなに無念だろうと娘の気持ちを思うと胸が苦しくなり、犯人に対する強い怒りが消えることはありません」
「裁判が終わっても、娘が亡くなった事実を受け止めることができず、私たち家族は悲しみの中にいます」
▼上訴権を放棄し控訴せず 懲役22年の判決が確定
大阪地裁によりますと、3月3日付けで西光被告本人が上訴権を放棄。検察も上訴権を放棄したため、3月6日付けで懲役22年の判決が確定したということです。
(宮腰友理)