埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民との間で摩擦が表面化している問題に関し、トルコ国内で「Karihomen(カリホーメン)日本でクルド人であること」という書名の本が刊行された。カリホーメンは、日本で強制送還の対象者が健康上の理由や出国準備などのため、入管施設への収容を一時的に解かれる仮放免制度を指している。
同書は昨年末に刊行。表紙には赤い日の丸と、おじぎをする日本人児童の中で一人だけ顔を上げるクルド人らしい少女の写真があしらわれている。
出版社サイトの同書紹介ページでは「難民申請しても拒否される。『自分の国に帰れば刑務所に入る』と言えば、ここで刑務所に入れられる。帰国を拒否すればカリホーメンにされ、埼玉に投獄される」と説明。
「カリホーメンと呼ばれる『保護観察』身分のもと、仕事や健康、旅行、教育などあらゆる権利を奪われ、日本の『ネトウヨ(ネット右翼)』とトルコの人種差別的なSNSユーザーからクルド人ヘイトを作りだされている」などとしている。
著者はトルコで活動するクルド人ジャーナリストで作家のイルファン・アクタン氏。令和4年に京都大の科学研究費助成事業(科研費)で来日するなどし、同年には上智大でも書名と同様の演題で講演していた。
クルド人問題に詳しいトルコ人ジャーナリストによると、同氏が寄稿するメディアはトルコ国内で左派、クルド人の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」寄りとみなされているという。
同書はアマゾン・トルコ版で338トルコリラ(約1320円)で販売され、書籍ランキングで現在、総合4万6391位、「社会学」部門3978位となっている。