陸自隊員が船乗りに 異色の新部隊「海上輸送群」発足へ

中国の海洋進出が活発化する中、南西諸島への人員、物資の輸送を任務とする新部隊として「自衛隊海上輸送群」が24日、海自呉基地(広島県呉市)に発足する。海自と陸自からなる防衛相直轄の共同部隊だが、「船乗り」へと転身した陸自隊員が輸送艦乗組員の大半を担うのが最大の特徴だ。
防衛省は2010年代以降、自衛隊駐屯地を続々と開設するなど、南西諸島の防衛力強化を進めている。この「南西シフト」に伴い、約1200キロにわたって点在する島々をつなぐ輸送力が不可欠となり、中期防衛力整備計画(19~23年度)に新たな輸送部隊の創設が盛り込まれた。
海上輸送群は陸上勤務から「船乗り」になった陸自隊員ら約100人態勢で発足。輸送艦2隻を保有し、小型級の「にほんばれ」(全長80メートル、基準排水量2400トン)に約40人、中型級の「ようこう」(全長120メートル、基準排水量3500トン)に約50人がそれぞれ乗り込む。ただし、ようこうについては通信機器の追加工事に伴い、就役が5月末にずれ込む見通しとなっている。
28年3月までに中型級2隻、小型級4隻、よりコンパクトな「機動舟艇」4隻の計10隻体制を整える。中型級は主に本州と奄美大島や沖縄本島を、小型級は沖縄本島と宮古島や石垣島をつなぎ、機動舟艇は小型・中型の輸送艦では離着岸が難しい小島への輸送を想定している。人員は数百人規模に増強が見込まれる。【松浦吉剛】

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