春の園遊会が60年ぶりの大改革 両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さま、佳子さまが3組に分かれ“皇族方の渋滞”を解消、“じっくりご歓談”“待ち時間短縮”の一石二鳥

“現存する世界最古の王朝”とも称される日本の皇室。その歴史はあまりに長く、積み重ねられてきた伝統を覆すのは簡単ではないが、来る4月、春を彩る恒例行事の慣習が大きく変わることがわかった。“令和流”へ──大改革の内幕を徹底レポート。
赤坂御苑に集まった招待客たちが見上げる小高い丘に、両陛下をはじめ皇族方が一斉に並ばれる。そして、一列になって招待客らの元に歩を進め、彼らの話に熱心に耳を傾ける──そんな園遊会のスタイルが変わろうとしている。
3月24日、ブラジルのルラ大統領が6年ぶりの国賓として来日する。
「25日には大統領を招き、皇居での歓迎行事や宮中晩餐会が行われます。令和に入ってから国賓が招かれるのは、2019年にトランプ大統領夫妻が来日して以来2度目。今回の宮中晩餐会には愛子さまも初めて参加される予定で、雅子さまも愛子さまの“晩餐会デビュー”を心待ちにしながら熱心に準備をされたそうです」(皇室記者)
令和に入ってすぐに、コロナ禍に見舞われた天皇皇后両陛下。久しぶりの国賓への接遇は、新しい令和皇室の姿を国内外にアピールする格好の場になると同時に、これまでの宮中晩餐会の慣習を大きく変える新しい試みでも注目される。
「ドレスコードに『平服』が指定されたのです。平服とは、男性ではダークスーツのこと。これまで通例だった燕尾服やタキシードからは、ぐっとカジュアルになりますね。女性は、ランチにあたる午餐会のときのようなドレスのイメージです。お召し物の変化によって場の雰囲気もよりリラックスしたものになり、会話もいっそう弾むことになるでしょう」(前出・皇室記者)
宮中晩餐会のドレスコードに平服が指定されるのは、長い皇室の歴史において初めてのことだという。
「今回の変更にはかなり驚きました。日本とブラジル両国の調整で決まったようですが、背景には、雅子さまのご負担軽減という発想があるのは間違いないでしょう。陛下をはじめ周囲の方々は、長く病気と向き合われている雅子さまには、体調に配慮しながら、安定的に公務に臨まれてほしいという思いがあるはず。もともと両陛下は“あまり堅苦しいのはよくない”という考えもお持ちです」(宮内庁関係者)
そうした“令和皇室のカラー”が生かされた変化の動きは、70年以上続く皇室の恒例行事でも例外ではない。今年の4月22日に開催される「春の園遊会」では、実に60年ぶりとなる大改革が実施されるのだ。
「これまでの園遊会では、皇族方が天皇陛下を先頭として一列となり、順番に招待客と会話していくのが常でした。しかし次の園遊会では、両陛下と秋篠宮ご夫妻、そして愛子さまと佳子さまが3組に分かれ、それぞれ“別の道”を歩きながら歓談されます。残りの皇族方がどの順路を歩むかは今後検討するそうです。
これほど大きな変更は、上皇さまが80才をお迎えになりルートを少し短縮化したことを除けば、園遊会が赤坂御苑で行われるようになった昭和38年以降、初めてのことです」(前出・宮内庁関係者)
そんな異変の背景には、ここ数年の園遊会で相次いだ“皇族方の渋滞”の存在があるとされる。
「先頭を歩かれる両陛下が招待客と話し込まれることで、後ろに続く皇族方がつかえてしまうのです。特に雅子さまのご歓談に臨む姿勢は“熱心すぎる“ともいえるほど。雅子さまは、国民と直接対話できる園遊会を貴重な機会と考えておられるのでしょう。積極的に質問を重ねられ、一人ひとりと丁寧に言葉を交わされます。
ご歓談の際、陛下おひとりが先に進んでしまい、雅子さまのところへ戻られる場面も見られるほどで、雅子さまは毎回“時間が足りない”といったご様子でした」(前出・皇室記者)
雅子さまの後方で表情をこわばらせた
会話に花が咲くあまり、最近の園遊会では歓談時間が予定を大幅にオーバーすることが頻発。宮内庁内部では招待客の体調を気遣う声もあがっていた。
「御代がわり後、初めての開催となった2023年の春の園遊会は、あいにくどしゃぶりの雨に見舞われました。そんななかでも、雅子さまは招待客の一人ひとりと熱心に会話され、最終的には予定時間を1時間以上も超過することになりました。雷も鳴り、冷たい雨が降り続くなか、“傘を差すのは両陛下に失礼にあたるのでは”と考えた招待客らが、ずぶ濡れで2時間近くも待ちぼうけの状態になる場面があったのです。
さらに2024年の秋の園遊会でも、残暑のなか歓談が長時間に及んだことで、複数名が体調不良を訴えた。なかには救急搬送された人もいたようです。園遊会の招待客は高齢の方々も多く、屋外で立ちっぱなしの時間が長引けば、かなりの負担がかかってしまいます。招待客にもし何かあれば大変なことですから、宮内庁としても園遊会のタイムマネジメントはここ数年で喫緊の課題になっていたのです」(前出・宮内庁関係者)
実際、宮内庁は両陛下に続く秋篠宮ご夫妻に、少し遅れてご歓談をスタートしていただくといった工夫をしてきた。しかし、結局は秋篠宮ご夫妻もすぐに雅子さまに追いついてしまい、その対策が功を奏することはなかった。
「宮内庁としても、運営方式そのものを見直さざるを得なかったようです。雅子さまの話が弾むのを前提に、これ以上、招待客を待たせすぎないように変更に踏み切った。ただ今回はあくまでも“お試し”で、宮内庁としても少しずつ試行錯誤を重ねながら最適な形式を模索したいというスタンスです」(別の皇室記者)
今回の大改革を受けて内心安堵されているのが、紀子さまではないかと前出の宮内庁関係者は語る。
「これまでの園遊会では、じっくりと話し込まれる雅子さまの後方で、あっという間に追いついてしまった紀子さまが表情をこわばらせる場面もありました。招待客への質問も“雅子さまと内容がかぶらないように”という配慮が必要ですから、雅子さまと別ルートになれば、紀子さまはより気兼ねなく招待客をもてなすことができるとお考えなのではないでしょうか」
もちろん、今回の変更は最終的には陛下のご決断によるものだ。
「毎年2000人近くの人が招待されますが、皇族方はその全員のプロフィールに目を通した上で園遊会に臨まれます。今回の改革が成功すれば、ご歓談を楽しみにされる雅子さまはほかの皇族方に気兼ねすることなくお話ができ、招待客の待ち時間も短縮できる。まさに一石二鳥の発想です」(前出・宮内庁関係者)
新たなスタイルを取り入れ、皇室も“令和流”に進化していく。
※女性セブン2025年4月10日号

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