石破首相が2025年度予算案成立後に「強力な物価高対策」を打ち出す意向だという。25日昼に、石破首相と官邸で会談した公明党の斉藤代表が明らかにした。
高騰するコメやガソリン価格の抑制が柱となる見通しだが、早速、野党からは疑問の声。「国会で審議中の25年度予算案は不十分だということになる。極めて問題だ」(立憲民主党・大串代表代行)という批判はもっともである。
岸田前首相が一昨年の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」をブチ上げた時のような唐突感。内閣支持率の暴落を止めるための付け焼き刃のにおいがする。そうしたら、林官房長官が同日午後の記者会見で「新たな予算措置ではなく、物価高の克服に取り組んでいく決意を申し上げたもの」と説明したから驚いた。
いったい、どんな物価高対策になるのか。決意だけなのか。石破政権、大丈夫か。
スーパーに買い物に行けば、総額はこれまでの2、3割増が消費者実感だ。実質賃金は3年連続でマイナス。総務省の家計調査に見る消費支出は食料品の買い控えが顕著で、追い打ちをかけるように主食のコメは平均価格が5キロ=4172円と過去最高を更新中だ。
4月も食品値上げラッシュ
さらに、4月も食料品は値上げラッシュ。帝国データバンクの調査では、調味料、酒類・飲料、加工食品、乳製品など4000品目以上に上り、昨年の年間の値上げ品目数(1万2520)を早々に上回りそうなのだ。
ガソリン税の暫定税率廃止は、25年度予算案に盛り込めば、4月からでも実施できたのにやらず、結局、4月以降も石油元売りへの補助金をダラダラ続ける。予備費が充てられる見通しだ。
狂乱物価高をここまで放置しておきながら、いまになって「強力な対策」って、やっぱり石破政権はズレまくっている。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「参院選対策ですよ。このままではかなり議席を減らすということで、物価高に対する国民の不満がようやく身に染みて分かった。国民は3年も物価高に苦しんでいるわけで、遅きに失した感はあります。補正予算を組むのか。ただ、いまから対策を打つとして短期間でやれるのはガソリンの暫定税率廃止ぐらいでしょう。食料品の価格を抑えるには、円安を止めないとなかなか難しい」
国民民主党が28日にも参院選向けの新たな経済対策をまとめるという。支持率アップ狙いのポピュリズムでは国民民主に一日の長がある。石破政権は、またしても主役を奪われることになるんじゃないか。
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「サトウのごはん」一部商品の終売が発表されるなど、コメ需給逼迫の影響はとどまるところを知らない。昨夏の令和の米騒動以降、コメの高騰が止まらず、卸売業者が訴える窮状とは――。●関連記事『【もっと読む】「サトウのごはん」は17品目終売 深刻コメ不足にあちこちから悲鳴…卸売業者が訴える倒産続出の危機』で詳報している。