国会では企業・団体献金の存否に関する論戦が深まっている。そうした中で「企業・団体献金を廃止することは日本の政治の劣化につながる」と主張するのが、自民党政治制度改革本部事務局長を務める小泉進次郎元環境相だ。なぜ劣化するのか。その真意を聞いた。(3月25日取材)
最後まで諦めず知恵を出す
ーー企業・団体献金の「原則禁止」を主張する立憲民主党。「存続」を主張する自由民主党。3月24日には公明党と国民民主党が折衷案を出してきました。落としどころは見えましたか。
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今月末までに法案について精力的に議論し結論を得ようとしているところです。結論をどのように導き出せるかっていうのが、まさに政治の知恵であり、落としどころだと思います。
今日が25日です。月末まではあと1週間ないわけですけど、短い期間であってもギリギリになって大きく動くケースもあるので、最後まで諦めず知恵を出す努力はしたいと思います。
とはいえ、じゃあ簡単に譲れるかと言われると、そういうわけにはいかないっていう思いもある。というのも、野党は企業・団体献金の禁止は30年前の平成の政治改革の宿題、だから禁止すると主張している。しかし学者の方々も、当時関わった伊吹文明元議長も含め、そしてさらに今、野党におられる小沢一郎さんも含め、企業・団体献金の禁止などという合意はないと言っているわけです。それは文書を見れば明らかだと。
やはり政治というのは文書が大事ですから、そこにないことをあたかも事実であると言って、法案を提出して、30年前の宿題という趣旨説明をし、そのうえで企業・団体献金の禁止を求めてくるという姿勢は、私は根本的に間違っていると思います。
とくに今、世界の中で、アメリカも含めて、事実ではないことをあたかも事実だと言って喧伝するような風潮があります。事実でないことを事実だと主張している勢力と話をすることは非常に難しい。今回この問題で野党と向き合っていると、私はそんな感覚がしているんです。
事実じゃないものを事実だと言って、自民党の弱体化を図っている。これを成功させてしまった暁には、日本の民主主義が壊れてしまうのではないか、という思いがあるんです。
多数派ではないから安易に譲って合意する、ということは絶対にやってはならない。誤った前提から誤った結論を導いてしまってはいけない。基本的な事実認識をすり合わせるという努力を最後までしたうえで次に行かなければいけない。それぐらいの思いでいます。