そもそも南海トラフ地震って? 30年以内の発生確率は「80%」

南海トラフ巨大地震の被害想定が13年ぶりに改定され、最悪のケースでは直接死が29万8000人に上るという想定が発表された。そもそも、南海トラフ地震とはどんな地震なのだろう。
地球の表面を覆うプレート(岩板)がぶつかり合い、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいる場所がある。こうしてできた細長い溝のような海底地形を「トラフ」と呼ぶ。
静岡沖の駿河湾から宮崎沖の日向灘にかけて広がるのが「南海トラフ」だ。
プレートの沈み込みによって蓄積したひずみが解放されると、陸側のプレートがはね上がり、大きな地震が起きる。はね上がりは海底で起きるので、海水が押し上げられて津波が発生する。
南海トラフでは過去に、マグニチュード(M)8級の巨大地震が、およそ90~150年の間隔で繰り返し起きてきた。
古文書などの記録では、684年の「白鳳(はくほう)地震」から1946年の「昭和南海地震」まで、少なくとも12回確認されている。
政府の地震調査委員会は2025年1月、今後30年以内の発生確率を「80%程度」に引き上げた。それまでは「70~80%」とされていた。
国は17年、南海トラフ地震につながる恐れがある際に、警戒や注意を促す「臨時情報」の制度を導入した。
臨時情報には4種類あり、想定震源域や周辺でM6・8以上の地震が発生した場合などに、気象庁はまず「調査中」の臨時情報を出す。その後、警戒が必要な程度に応じて「巨大地震警戒」「巨大地震注意」を出し、いずれにも当てはまらないと判断すれば「調査終了」を発表する。
24年8月には日向灘でM7・1の地震が起き、気象庁は初めて「巨大地震注意」を発表。1週間にわたり、茨城県から沖縄県にかけての29都府県の計707市町村に、避難する場所や備蓄など日ごろの備えを再確認するよう呼びかけた。【茶谷亮】

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