石破首相は13日、神戸市の川崎重工業本社を訪れ、米国の関税措置の影響や必要な政府対応について、同社関係者と意見交換した。トランプ政権による関税措置の発動後、首相が製造業の現場に足を運ぶのは初めて。首相は「説得力を持って米国と交渉できるよう、現場の声を反映したい」と強調した。
意見交換には、同社の橋本康彦社長や下請け会社の幹部ら計5人が参加した。同社は米国にバイクを輸出しており、参加者からは「トランプ大統領に関税措置の撤廃を強く求めてほしい」との声のほか、「日本企業が進出する各州の知事や議員への働きかけも行ってほしい」との意見が出たという。
首相は、関税措置の撤廃について「ある程度、時間はかかる」と理解を求めた上で、「日本は、世界最大の(米国への)投資国であり、世界最大の雇用を生み出している。『米国の製造業を強くするため、関税措置は的確ではない』と、説得力を持って交渉できるよう、対応を作っていきたい」と訴えた。
政府は米国の関税措置を受けた対応を急いでおり、赤沢経済再生相が16日に訪米し、17日にもベッセント米財務長官らと会談する予定だ。関係省庁の副大臣らが自動車部品メーカーなどの訪問も進めており、首相は視察後、記者団に「現場の声を(米側に)届けることが政府に最も求められることだ。政府・与党一体で対応したい」と述べた。
首相はこの日、神戸市内で女性起業家との意見交換も行った。