天皇、皇后両陛下が主催される春の園遊会が22日午後、赤坂御苑(東京都港区)で始まった。漫画家のちばてつやさん、バレエダンサーの森下洋子さんら各界功労者が招かれている。5月並みの陽気の中、皇室の方々が招待者と歓談した。
昭和から続く園遊会は今回、新たな「おもてなし」の形に変化する。両陛下を先頭に皇室が一列になり、同じルートを進むのをやめ、両陛下、秋篠宮ご夫妻ら、愛子さまと佳子さまら、と三つにルートを分けた。
宮内庁幹部は「招待者の皆さまに、園遊会をもっと楽しんでいただくため」と変更の理由を説明する。昭和から続く皇室全員が一列になる方法では、ルート沿いに招待者が集中する。場所取りのための待ち時間も長くなり、春でも気温が上がる近年は体調を崩す人もいた。
会場に皇室の方々が散らばることで、招待者も分散させ、待機時間を減らし、苑内の自然や料理を楽しむ時間の確保につなげてもらう狙いがある。
会場は、数種類のツツジやカキツバタなど多様な花が咲く日本庭園。宮内庁楽部による雅楽、皇宮警察本部音楽隊による吹奏楽も披露される。宮内庁御料牧場(栃木県)で飼育している羊のジンギスカンと焼き鳥などが振る舞われる。
園遊会は春と秋の年2回開かれる。令和に入り、新型コロナウイルス感染症の影響で開催自体を取りやめたり、飲食の提供規模を縮小したりしてきた。今回から、ビールなどのアルコール類やフルーツカクテルの提供を再開。メニューは6年半ぶりに従来の規模に戻った。【山田奈緒】