山口地裁 SNSの投稿で名誉毀損などの罪に問われていた女性に無罪判決

動物愛護活動を行うNPO法人の代表などに対しSNSで侮辱する投稿を行ったなどとし、名誉毀損などの罪に問われていた女性に山口地裁は24日、無罪判決を言い渡しました。
無罪判決を受けたのは、50代の女性です。
女性は動物愛護などの活動を行うNPO法人の代表の女性や、動物愛護に関する情報発信などをしていた男性に対し、不特定多数の人が閲覧できる状態のX(旧ツイッター)で名誉を毀損する内容の投稿をしたなどとして侮辱、名誉毀損の罪に問われていました。
女性側は「SNSに投稿したことは事実であるが、誹謗中傷しようとしたことはない」などとして無罪を主張していました。
24日の裁判で山口地裁の安達拓裁判長は、「代表が何年も前から動物の有償取引をして相手によって足下を見るような金額を吹っかけていた」などといった女性の投稿について、「有償での動物の引き取りが常態化していて寄付金の額も決定過程が恣意的に決められていてその額が高額になることもあったと表現することも誤っているとまでは言えない」とし、「社会一般に対して問題提起を行うとの側面があることは否定できず、目的の公益性も認められる」などとしました。
また、「他人の発言を正確に引用できない、前後の文脈を理解できない」などと男性について投稿し、侮辱罪に問われていた点については、「公然と他人を批判する表現のすべてを社会的評価を低下させる恐れがあるものとして『侮辱』に該当するとしたのでは、個人の表現の自由を過度に制約することになって不相応というべきであり、『侮辱』に該当するか否かを判断するにあたっては、当該表現が対象者の社会的評価を低下させるおそれの程度についても考慮する必要がある」とし、女性のフォロワー数などから「刑法上の処罰に値するだけの程度、対象者の社会的価値を害するおそれのある表現とは認めがたい」などとし、いずれの件でも被告人については無罪であるとしました。
また、「被告人の論評内容を相当として是認するものではない。しかし、論評内容の是非が直ちに侮辱罪や名誉棄損罪の構成要件該当性や違法性を左右するものではないことは明らかである」と判決で付け加えています。
検察側の求刑は罰金50万円でした。
山口地検は「判決内容を詳細に検討し、上級庁とも協議したうえ適切に対応したい」とコメントしています。

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