候補者調整が終わり、参院選大勝が見えた国民民主党だが…玉木代表が抱えた“爆弾”の正体【永田町番外地】

【永田町番外地】#26
参院選後の政局を左右する国民民主党の玉木雄一郎代表が、ここにきて安堵の表情を浮かべている。比例区の候補者選定をめぐって確執が表面化していた伊藤孝恵選対委員長代理ら参院女子との“和睦”が成立したからだ。
14日、長く足止めをくらっていた足立康史氏(元維新)、山尾志桜里氏(元立憲)、須藤元気氏(元立憲)、そして元自民の薬師寺道代氏の4人の元議員の公認決定にこぎつけた。いずれもスネに傷持つ候補者なので、党内の風当たりは強く、支援組織の連合からも待ったをかけられていた。
「代表は自身の女性問題をネタに“参院女子”に首根っこを押さえられ、公認候補の選定もままならない状況でした。最後は時間切れもあって、4人に“確認書”を差し入れさせて双方が歩み寄った感じです」(同党事情通)
これで同党の参院選公認候補者は選挙区18人、比例区16人の計34人。支持率で野党第1党の立憲民主党をしのぐ勢いの玉木国民民主は、比例だけでも8~12議席が視野に入り、獲得議席数の目標を16議席に設定した。
「非改選の5議席と合わせ21議席を得れば、予算関連法案の単独提出が可能となります。万が一にも参院も自公過半数割れとなれば、政権与党の組み替えで、玉木首班すら現実味を帯びてきます」とは全国紙デスクの見立てだ。
先週、テレビ番組に出演した自民党の岸田文雄前首相が玉木氏を首班候補のひとりとして名指したのも、自公過半数割れを想定したものだ。
とはいえ、玉木氏も浮かれてばかりもいられない。
「確かに、参院選の大勝は目に見えていますし、候補者擁立のメドが立ち、首班候補ともてはやされて代表は上機嫌ですよ。ただね、ヨチヨチ歩きの政党ですから悩みのタネは尽きません」と周辺は語り、むしろ大勝した後の党運営を懸念する。玉木氏は、いったん矛を収めた参院女子の動向を気にかけているそうだ。
「国民民主の参院は連合の支援がなければ当選できない議員ばかりですが、比例の産別候補というのは組織票がたかだか10万から20万票しかない。そんなところに、知名度抜群で連合組織票をはるかにしのぐ大量得票が期待できる足立氏や山尾氏が参入してくるわけです。しかも、この2人は抜群の政策能力、論争力の持ち主ですから、“自分が一番”の現職参院女子たちは主役の座を奪われかねないわけです」(前出の事情通)
玉木氏からすれば、この2人は、参院女子を操る連合の政策的要求や、立憲民主との合流圧力をはね返す防波堤でもある。頼もしい助っ人なのだが、しかし、だからこそ内紛や分裂の火種、いや、爆弾にもなるとみられているのだ。
一難去って、手にしたのはもろ刃の剣。玉木代表の安堵の表情も、参院選開票日までのものか。
(特命記者X)

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