証券会社の顧客口座が乗っ取られ、株を勝手に売買された問題で、警視庁が不正アクセス禁止法違反や私電磁的記録不正作出・同供用の疑いを視野に捜査を開始したことが捜査関係者への取材で判明した。被害は全国各地で確認されており、警察庁サイバー特別捜査部などと共同で捜査する。
不正取引は1月以降、大手証券やネット証券を含む十数社で確認されている。金融庁によると、不正売買の件数は4カ月間で3505件に上り、総額は約3049億円に及んでいる。
捜査関係者によると、不正が大規模なことから犯罪グループが関与しているとみられる。不正に得たIDやパスワードを使って他人の口座にログインして乗っ取り、株の売買注文を繰り返した疑いがあり、警視庁のサイバー犯罪対策課が経緯を調べる。
さらに、乗っ取った口座で特定企業の株を大量に買い入れることで株価をつり上げたうえで、それを売り抜けて利益を得る「相場操縦」の可能性もある。警視庁は証券取引等監視委員会の協力を得るとみられる。【菅野蘭、山崎征克】