被爆80年を機に広島桜が丘高校では1年生の授業のひとつに平和学習を取り入れました。世界で核の脅威が高まる中、生徒たちが「武力による抑止力は必要か」を議論しました。
広島市東区の広島桜が丘高校で、5月から平和について考える授業が始まりました。受けているのは、1年生です。
■生徒
「武力があって、人が傷つかないって言えるんですか?」
■生徒
「傷つかないっていう保証はないですけど、国民同士で不安がおこるんですよ。武器がないっていうので。」
班ごとにテーマが振り分けられ、ディベート形式で賛成と反対の立場に分かれて議論します。この班は、「武力による抑止力で、国際平和を守れるか」がテーマです。
■「武力は必要」の生徒は…
「武力が必要だと思う理由は、独立の維持。植民地になりづらいというのがあげられます。戦争が起きる前に圧力をかけて戦争を抑制して、あまり手をださないようにするというので防げると思います。」
「軍事力があることで、外交への優位性がとれることです。軍事力があると、ほかの国よりも強い立場をとれます。」
■「武力は不必要」の生徒は…
「武力を持っているから、戦争がなくならないんだと思います。」
「自国に武力がなかったら、無害とみなされやすいから、信用を得やすいのではないかと思います。」
授業には、平和について考えるだけでなく、もう一つの狙いがあります。それは、自らが考えてコミュニケーションをとり、主体性を育むことです。広島桜が丘高校はこれまで、楽しみながら学ぶ授業や、生徒同士が話し合う時間を増やしたほか、身だしなみの校則を撤廃するなど、生徒の自主性を高める改革をしてきました。
この教育方針に賛同し、授業内容などを計画するのをサポートするのが、叶松忍さんです。かつて、広島県の教育委員会や経済産業省で、新しい教育の在り方や、デジタル授業の導入などに貢献してきました。
■PLAY SPACE社長 叶松忍さん
「知識を教え込む、正解を教えるっていうよりかは、生徒たちにいろんな選択肢を提供して、自己決定させる場面を増やしていくっていう必要があるかなと思っています。その過程で、いろんな資質・能力が身に付いていくんじゃないかなと思っています。」
叶松さんに、平和学習を取り入れた理由を聞きました。
■PLAY SPACE社長 叶松忍さん
「広島の歴史文化であったり、今後どんな平和な社会をつくっていきたいのか、そこにどう貢献できるのか、そういったところを自分ごととして考えてもらえるような、そんなきっかけをつくっていきたいなと思ったからです。」
授業を終えた、生徒たちに話を聞きました。
■生徒たちは…
「核自体が複雑で、全人類とかで考えていかなきゃいけない問題だなと思いました。被害者がいっぱいいるので。」
「戦争の恐ろしさについて知って、戦争が起こらないように、平和についてもっと知っていきたいです。」
「暴力もなく、平和にみんなで楽しんでいきたいです。」
「思いやりを持って、行動していきたいと思います。」
被爆80年の節目に始まった平和学習。仲間たちと対話を重ねながら、自分たちの未来について考える夏です。