政治資金パーティー収入のうち「86%が自民」に

2023年末に発覚した自民党の安部派をはじめとする「裏金」問題は、政治資金パーティーをめぐって起きた。
主要5政党のパーティー券収入額
一連の「裏金」問題では、本来、政治資金収支報告書に記載されるべきパーティー券の販売収入が、記載されていなかった。そして不記載分の収入が議員にキックバックされ、「裏金」となっていたのだ。なぜこうもずさんな会計処理が長年発覚しなかったのか。
背景の一つに挙げられるのが、政治資金パーティーをめぐるカネの見えにくさだ。特に、カネを「払う側」のことは見えにくく、「誰がいくら分買ったか精緻に処理しない議員もいて、裏金につながりやすかった」(議員秘書)とすら言われる。
この見えにくい「払う側」についても、今回、シンクタンク「政策推進機構」(西田尚史代表)が分析したところ、実態の一端が見えてきた。
パーティー収入の86%が自民側へ
分析対象は、2363の党本部や党支部の、政治資金収支報告書(2023年分)。対象の内訳は、主要5政党(自民、公明、立憲民主、維新、国民民主)の本部、政治資金団体、支部(都道府県、国政選挙区まで)。収支報告書は計約6万5000ページだ。
政治資金パーティー収入は、収支報告書の「機関紙誌の発行その他の事業による収入」というカテゴリーの中に計上される。そこには「政治資金パーティーによる収入」のほか、「機関紙誌の発行による収入」「その他事業による収入」が含まれている。
記載されている個別の収入項目がそれぞれ、どれに該当するのかは、見ただけではわからない。そのため、政治資金パーティー収入だけを集計するには、収支報告書の「支出」の項目の「政治資金パーティー事業費」とひも付くものを、一つひとつ抽出しなければならない。
この膨大なひも付け作業を、AIとITエンジニアリングを駆使することで、今回データ化に成功したという。
得られた調査結果を見ていく。主要5政党側にパーティーを通じて入っていたカネの総額は104.6億円(1000万円未満切り捨て、以下同)で、うち86%の約90.4億円が自民側に入っていた。次いで金額が多い順に、立憲民主(6.4億円)、公明(2.9億円)、日本維新の会(2.5億円)、国民民主(2.3億円)だった。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「政治パーティー券の購入額が多い組織をランキング。政治団体は日本医師連盟、企業はあの家具・インテリアの製造販売大手がトップ」でご覧いただけます。
伊藤 嘉孝:東洋経済 記者

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