石破首相は、国民の注目が高まるコメ政策で改革姿勢を前面に出し、内閣支持率が低迷する局面の打開を図りたい考えだ。政府・与党はコメ価格の安定化につながる農政改革への道筋を示せれば、夏の参院選に向け、政権浮揚の材料になると見込む。野党側は政府・与党ペースになる展開を警戒し、課題追及に躍起となっている。(谷川広二郎、佐藤寛之)
「自国生産と備蓄、輸入をどう組み合わせるかがフードセキュリティー(食料安全保障)の本質だ。我が国の場合、(食料自給率が)38%と恐ろしく低い」
首相は2日の参院予算委員会で、現状の農業政策への強い危機感をあらわにした。週内にも新たな関係閣僚会議を設置し、事実上の減反にあたる生産調整の見直しや米価変動に際しての農家への補償のあり方などの議論を急ぐと強調した。
首相は農相経験者だが、党農林族の主流派とは一線を画し、生産調整見直しを持論とする。この日も見直しに関し「結論を早急に出す必要がある」と訴えた。首相が農政の転換を掲げやすくなったのは、改革志向の小泉農相が就任した影響も大きい。小泉氏は水田政策のあり方を2027年度以降に大転換すると明言し、政府備蓄米放出などの当面の施策も「スピード感を持って対応する」と語った。
首相や小泉氏の改革路線は、与党内でも「コメ価格の下落など成果が出れば、都議選や参院選に向け潮目を変えられる」との期待もあり、支持を得つつある。公明党の斉藤代表は東京都内で記者団に「減反政策を見直すべきだ」と言い切った。もっとも、生産者保護を重視する自民農林族には急速な改革を警戒する向きも多く、自民内での攻防が激しくなる可能性もある。
立憲民主党の石垣のり子氏が「生産量や価格の問題も含め、農政の失策の帰結ではないか」と批判するなど、野党は懸命に対決姿勢を強めている。対する小泉氏は「減反政策のあり方やセーフティーネット(安全網)の作り方は、与野党の垣根を越えて様々な提案をテーブルの上にのせる」と建設的な提案を呼びかけ、追及をかわした。
農家に補助金を支給する「直接支払制度」を掲げる立民は、生産者重視の立場で政府・与党との違いを打ち出す戦略を描く。だが、石垣氏が「(農家経営は)市場原理だけでは難しい」とただすと、首相は「コストを下げる努力に対して補償すべきかということだ」と応じ、生産性を向上させた農家への補償を検討する考えを示した。立民内からは「参院選に向けた争点潰しだ」との声も漏れている。
自民幹部が備蓄米試食
自民党は2日、党本部で政府備蓄米の試食会を開いた。森山幹事長ら党幹部が流通が本格化している2022年産の備蓄米で作られたおにぎりをほおばりながら、品質の高さをアピール。森山氏は、保管技術などを念頭に「こんなにおいしく食べられる技術は日本しかない」と強調。小野寺政調会長は記者団に「消費者の選択肢を広げることで、不安を払拭したい」と語った。