「息子の命を無駄にさせない」 エレベーター事故19年、母の訴え

東京都港区の区立住宅で2006年、住人で都立小山台高2年だった市川大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)がシンドラーエレベータ社製のエレベーターに挟まれた死亡事故から19年となった3日、事故の再発防止を誓う集会が現場近くの集会場で開かれた。母親の正子さん(73)は「安全に終わりはない」と訴えた。
集会は、事故を受けて結成された「赤とんぼの会」と区が主催。献花台が設置され、訪れた多くの人が花を手向けた。
正子さんは「防げた事故、助けられた命との思いは今も変わりはない」と振り返り、「安全を意識し続け、大事な命が奪われないようにみんなで考えていきませんか」と語りかけた。
区は3日を「港区安全の日」に制定し、今年3月には「安全の碑」が区役所に設置された。正子さんは「(16歳の命を)無駄にさせない、みんなの安全に生かしたいとの思いで訴え続けてきた」と話した。
事故では、扉が開いたままエレベーターが上昇し、大輔さんが挟まれて死亡した。国は09年9月以降に新設されるエレベーターに扉が開いたままの移動を防ぐ補助ブレーキの設置を義務化し、それ以前のものへの設置も促した。
しかし24年1月、仙台市の共同住宅で、00年に設置され二重ブレーキがないエレベーターで同様の事故が起き、2人がけがをした。二重ブレーキ設置率は4割程度にとどまり、正子さんは全基への設置を求めて活動を続けている。【木下翔太郎】

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