6月から、職場での熱中症対策が企業の義務となりました。対策を怠った場合は罰則もあり得る今回の義務化に、対応に限界があると悩む声も上がっています。
福岡県を中心に57店舗を展開する「ミスターマックス」。福岡市東区の店舗では、店内入ってすぐのところに熱中症対策グッズが並んでいます。
■照屋芳樹記者
「店頭に出す前の商品が置いてある倉庫はエアコンがなく、風の流れもないため暑く感じます。」
■店舗従業員
「一定の場所でやるので、どうしても暑くなってきます。かなり汗はかいたりしますね。」
夏場の倉庫はサウナのように暑くなるため「ミスターマックス」では熱中症対策として新たな設備を導入しました。
■ミスターマックス土井店・恒松 徹 店長
「こちらが新たに導入したスポットクーラーです。」
去年8月には暑さ指数の測定器や工業用扇風機を導入しましたが、ことしから新たにスポットクーラーを設置しました。
■恒松店長
「スポットクーラー導入の際は、やった!という声が出ました。」
熱中症対策が義務づけられたのは、暑さ指数が28以上、または気温が31℃以上の環境下で、連続して1時間以上または1日4時間を超える作業です。
「ミスターマックス」では熱中症が疑われる人が出た場合の対応手順や、店舗責任者への報告体制なども従業員に周知しています。
■恒松店長
「従業員の安全、健康を管理をする上で、責任者としては非常に重要な義務であると感じています。」
■工務店の男性
「熱中症関係ですね。暑いとき、具合が悪いときは必ず休憩してもらうようにお願いします。」
朝礼で熱中症への注意を呼びかけていたのは、福岡市南区の工務店です。
熱中症対策として作業場には扇風機、休憩所にはクーラーと製氷機を設置しています。
厚生労働省によりますと、去年1年間の熱中症による業種別の死者数で、8人と最も多かったのが建設業です。
今回の対策義務化は怠った場合、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となります。
この工務店から仕事を引き受ける会社の代表は「労働者を守るために必要なこと」と熱中症対策の義務化に理解を示す一方、規模の小さな会社では対応に限界があると感じています。
■北川工房・北川和利 代表
「補助があるわけではなく、自分たちの余力の持てる範囲内で行うのが今の現状かなと思います。」
夏場の建設現場で重宝されるファン付き作業服も、規模の小さな会社では自費で購入する人が多いといいます。
■北川代表
「補助があると取り組みが進むかなと思いますが、そこらへんが問題かなと思います。」
義務化された熱中症対策をいかに広く浸透させるのか。働く人の命を守るために避けて通れない課題です。
※FBS福岡放送めんたいワイド2025年6月2日午後5時すぎ放送