農林水産省は16日、コメのできばえの目安となり、毎年秋に発表する「作況指数」を2025年産米から廃止すると発表した。気候変動により、過去30年の傾向を踏まえた収量との比較では作況指数が高くなりがちだったことから、約70年間続いた統計を見直す。小泉農相は、収穫量調査の精度を上げる方針を示した。総務省の承認を経て調査内容を変更する見通し。
作況指数は1956年から現行の形で公表されている。農水省が毎年行う収穫量調査を基に、都道府県ごとに10アールあたりの収量を把握し、過去30年の傾向を踏まえた平年と比較して指数化している。平年を100とし、やや良(102~105)、やや不良(95~98)などとして公表している。
過去の冷害の影響などが大きく反映されており、冷害が減った近年の傾向とはズレが生じやすくなっている。2024年産米の全国の作況指数は101の「平年並み」だったが、コメの供給不足で価格は高騰しており、生産現場の実感との乖離が指摘されていた。
農水省は収穫量調査の精度を高めるため、収穫時に収穫量を測定できる高性能コンバインの活用や人工衛星などの最新技術を使った調査方法の確立を目指す。
小泉氏は16日、報道陣の取材に応じ、収穫量の調査に一本化し、「作況指数を出さない方が現場(の実態)と乖離しないのではないか」と述べた。