パンダによる経済効果は31年間で約1256億円――。レジャー施設「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダは和歌山県白浜町の観光資源としての役割も担ってきた。全頭返還は地域経済にとっても大きな打撃だ。
「いなくなるなんて考えたことがなかった。売り上げはかなり減ると思う」。JR白浜駅前の土産店「まつや」の店長(52)は不安をのぞかせる。パンダ関連の土産が店の4割ほどを占めるが、徐々に減らさざるを得ないと考えている。「『パンダのまち』としてPRしてきたのにこれからどうすればいいのか……」
壁紙や畳、テーブルなどパンダに囲まれた部屋を提供している南紀白浜マリオットホテルは、パンダの帰国後も部屋を維持する。「この部屋に泊まってパンダたちに会えた気持ちになってもらえれば」と広報の北原信行さん(52)。夏休みにも既に予約が入っているという。
経済効果を試算した関西大の宮本勝浩名誉教授は「一日も早く白浜にパンダが戻ってくることを願う」とコメント。白浜町の観光に関わる人々も思いは同じだ。【中川祐一】