ぴょんぴょん跳びはねるノミの群れに、朝の幼稚園は大混乱に陥った。大阪市港区の市立幼稚園で14日にあったノミの大量発生。市によると、ノミを持ち込んだのは、いつの間にか園舎内にしのびこんでいたイタチだったとみられる。
「大昔ならまだしも、直近ではそんな話は聞いたことがない」
大阪市の職員はそう首をかしげる。
14日午前8時半ごろ、市立三先(みさき)幼稚園(同市港区)で出勤した職員が園舎内にノミを発見した。ノミは教室や玄関、廊下など園舎の至るところで飛び跳ねていた。体長数ミリのノミは30センチを超える高さまで飛翔(ひしょう)可能だ。
小さなノミといえども侮れない。ノミに刺されると数日間はかゆみに悩まされ、症状が悪化すると全身にアレルギー反応が現れて呼吸困難などに陥る可能性もある。同園では園児に危険が及ぶと判断し、駆除のため休園を決定した。
専門業者に依頼し同日午後から2日間にわたって駆除作業を実施。薬剤を噴霧して効果を確認したうえ、手が触れる場所などは拭き取り作業を行い、幼稚園は16日から再開した。
大量のノミはどこから来たのか。ノミは多くの場合、イヌやネコなどの外から出入りするペットによって持ち込まれる。ネズミやコウモリなどの野生動物にも寄生する。
今回の発生源とみられるのは、園舎の天井裏で死骸として見つかったイタチだ。実はこのイタチ、数週間前から潜んでいた疑いがある。
同園では6月下旬、職員室にノミが発生したため、市販薬で駆除したが、その後も複数回にわたりノミを確認。今月8日に専門業者に駆除を依頼したところ、1階の天井裏にイタチの死骸が発見されていたのだ。ノミはイタチに寄生していたとみられ、市職員は「イタチが死んだことで周囲に飛び散ったのかもしれない」と推測する。
イタチは体長30~40センチほどの胴長短足の動物。すばしこく動き、3センチ足らずの隙間でもすり抜け、垂直の壁でも登れるほど運動能力が高い。人家の床下や天井裏で子育てをすることで知られている。
市職員は「家庭でもビルでも同じで、イタチなどの小動物の侵入そのものを防ぐ手立てはない」と頭を抱える。「こうしたケースでは園(など施設)の再開を最優先に駆除などの対応を進めていきたい」と話す。(藤谷茂樹)