横浜市で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に合わせ、国際協力機構(JICA)が千葉県木更津、山形県長井、新潟県三条、愛媛県今治の4市をアフリカの「ホームタウン」として認定したところ、「移民が増えて治安悪化につながる」との臆測がSNSなどで広まり、市役所に苦情の電話やメールが殺到する事態となっている。「移民の受け入れ促進」といった誤ったアフリカ側の発表や現地報道の影響とみられ、JICAはこうした情報を否定し、冷静な対応を呼びかけている。
JICAによると、視察や研修を通じた人材交流などを後押しする目的で、木更津市はナイジェリア、長井市はタンザニア、三条市はガーナ、今治市はモザンビークのホームタウンとして21日に認定した。
移民の受け入れを促進したり、特別ビザを発給したりすることはないが、各市には認定後から電話やメールが殺到。三条市には25日午後2時時点で「三条市は危なくてもう住めない」といった約300件の電話と数千件のメールが寄せられた。ガーナの政府関係者が9~10月に田んぼを視察する予定だが、担当者は「大きく違う方向に取り上げられ、非常に困惑している」と話す。
木更津市役所も25日朝から電話が鳴りやまず、700件以上のメールも寄せられ、渡辺芳邦市長は「移住・移民の受け入れや特別就労ビザの発給要件の緩和措置などを要請した事実はない」とのコメントを市のホームページに掲載した。
JICAは「現地報道には事実と異なる内容や誤解を招く表現が含まれており、内容の訂正を速やかに行うよう申し入れを進めている」としている。