厳罰化の自転車の飲酒運転 なぜ福岡で検挙相次ぐ?

昨年11月から自転車の酒気帯び運転に罰則が設けられました。今年6月までの8カ月間に全国で4542件が検挙されており、件数が飛び抜けて多いのが福岡県警です。なぜ福岡で検挙が相次いでいるのか。その背景を解説します。【金将来】
Q お酒を飲んだ後に自転車に乗ったら駄目なの?
A 自転車は道路交通法で「軽車両」とされ、乗用車と同様に、飲酒によって安全運転に必要な判断力や注意力などが低下するため、飲酒運転は禁じられています。以前は、処罰対象は、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある「酒酔い運転」のみでしたが、2024年11月に改正道路交通法が施行され、「酒気帯び運転」(呼気1リットル当たり0・15ミリグラム以上のアルコール)でも違反者に3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられます。
Q 実際に検挙された人もいるの?
A 警察庁によると、24年11月~25年6月に全国で4542件が自転車の酒気帯び運転で検挙されています。都道府県警別では、福岡県警(949件)が飛び抜けて多く、埼玉県警(331件)、警視庁(326件)と続きます。
Q どうして福岡県が多いの?
A 福岡では06年に飲酒運転の車による追突事故で幼い子供3人が亡くなりました。県警は自転車を含めた「飲酒運転撲滅」を重点施策としており、県警幹部は「積極的に取り締まりをしているからではないか」と分析しています。
Q 自転車でも飲酒運転をしない、させないことが何より大事だね。
A 24年11月施行の改正道交法では①飲酒運転をする恐れがある人に自転車を提供する②自転車を運転する恐れがある人に酒を提供する――行為も罰則(ばっそく)の対象となり、①には3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、②には2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金――が科せられます。飲酒運転の自転車が絡んだ死亡事故は15~24年に計417件起きています。「自転車だからいいか……」という甘い考えを捨て、悲劇を生まない環境をつくることが大切ですね。

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