「紋次郎」、遺族側逆転勝訴=珍味メーカーの著作権侵害認定―知財高裁

時代小説「木枯し紋次郎」の主人公に酷似したイラストを駄菓子の容器に描いたとして、原作者の笹沢左保氏の遺族らが珍味メーカー「一十珍海堂」(名古屋市)に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が25日までに知財高裁であった。中平健裁判長は、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更し、著作権侵害を認めて約5600万円の支払いなどを命じた。24日付。
判決によると、木枯し紋次郎は1971年に雑誌連載が始まり、72年1月からテレビドラマが放映されて高視聴率を獲得。主人公は三度がさに長い道中かっぱ、長い竹のようじをくわえ、長脇差しを携えた姿だった。
一十珍海堂は同年6月、味付けしたスルメイカを串に刺した駄菓子「紋次郎いか」を発売。容器には商品名と、この主人公と同じ特徴を持つ人物のイラストが描かれていた。同社は遺族側の連絡を受け、2022年にイラストを外した。
判決で中平裁判長は、ドラマ放映前に主人公の特徴を全て備えた人物の存在は認められないと指摘。同社側は江戸時代の渡世人のごく一般的な表現だと主張したが、「ありふれた姿と認める証拠はない」と退けた。イラストは主人公の本質的な特徴を維持した創作的表現だとして、翻案権を侵害したと結論付けた。 [時事通信社]

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