新潟県内は今年、スズメバチが大量発生し、山間部だけでなく市街地にも巣を作っています。刺されたら最悪、死に至ることもある危険なスズメバチは、巣を見つけたら専門の業者に依頼することが必要です。その業者の駆除作業に密着しました。
胎内市にある乙宝寺です。
【記者リポート】 「先週この『方丈殿』の裏でハチの巣が見つかりました。日本一凶暴なハチだということです」
駆除を依頼された専門業者に案内してもらうとありました!
【ハチ屋代表 五十嵐晴美さん】 「あの隙間の穴、また1匹飛び出した。かなりの数のハチがいると思われます」
体長およそ4.5センチ。スズメバチの中で最も大きく、攻撃性も毒性も高いオオスズメバチの巣です。
【ハチ屋代表 五十嵐晴美さん】 「国内で一番凶暴で危険なハチといわれている。足首を狙われがちだが、毒が回ると、足がしびれて動けなくなって歩くことすらできなくなる。最悪、死に至るケースもある」
カメラを近づけると激しく攻撃してきます。
【乙宝寺 役僧 石黒秀淳さん】 「ちょうど、屋根を工事しているが、敬老の日の終わりぐらいから(工事)業者の人が『ハチが飛んでいる』と…」
県ハチ会によりますと、今年はこうしたスズメバチが大量発生しているそうです。原因は“空梅雨”とみられています。
【新潟県ハチ会代表 細貝豊さん】 「スズメバチはゴールデンウイークのころに女王バチ1匹で巣を作り始める。例年だとその時に餌が手に入らず餓死してしまったり、半分以上が脱落するが、完全な“空梅雨”だったのでハチの餌となる昆虫が一斉に活動したために乗り越え率が非常に高かった」
秋はハチが活発になる時期。 オオスズメバチの巣は土の中にあるため気付きにくく、うっかり近くを通って刺激してしまう恐れがあるので注意が必要です。
【ハチ屋代表 五十嵐晴美さん】 「もし、遭遇してしまったら、ゆっくり後ずさりして巣から離れる」 「もし1匹威嚇して近づいてきた場合、じっとして動かない。手を払ったりすると、動かした手に体当たりしてくる。ハチが怒ってしまった場合、巣穴から一斉に飛び出してくるので、全力で一目散に逃げて下さい」
ハチは暗くなると活動をやめて巣に戻ります。 そこで、日没後、巣穴近くに掃除機をセットし、翌朝、飛び立つハチを吸い込んだあと、巣を掘り出して駆除する計画です。
一夜明け、ハチの巣に向かうと…
【ハチ屋代表 五十嵐晴美さん】 「400匹以上いそうな気がしますよね」
掃除機で吸い込み切れなかったたくさんのオオスズメバチが飛び回る中、作業開始。まずは掃除機と虫取り網で、巣の周辺を飛び回るハチを捕まえます。
その後、巣の中に煙を入れてハチを動けなくしたうえで、土を掘り起こします。
作業開始からおよそ3時間、取り出したのは7段の巨大な巣。 重さは4キロほどで六角形の巣穴には一つ一つに卵が産み付けられていました。
【ハチ屋代表 五十嵐晴美さん】 「無事に捕獲できて良かったなと思います。バチバチ防護服にぶつかってくる感覚が分かりましたし、防護服がなければとっくに刺されていたなと。卵の産卵も確認できたので、まだまだ大きくなっていきますね」
オオスズメバチは本来、山あいに巣を作ることが多いということですが、なぜ人里にこれだけに大きな巣を作ったのでしょうか。
県ハチ会は山間部でオオスズメバチが溢れかえり市街地に降りてきた可能性もあるとみて、調査を続けるということです。