去年12月、北九州市で中学生2人が殺傷された事件で、近くに住む44歳の男が26日、起訴されました。男の当時の精神状態を調べる鑑定留置は8か月にも及びました。
殺人と殺人未遂、銃刀法違反の罪で起訴されたのは、北九州市小倉南区の無職、平原政徳被告(44)です。
平原被告は去年12月14日午後8時半ごろ、北九州市小倉南区のファストフード店で、レジに並んでいた当時、中学3年生だった中島咲彩さんの腹を、刃渡り11.4センチの狩猟用ナイフで刺して殺害した罪に問われています。
また、一緒にいた中学3年生の男子生徒の腰を殺意を持って同じナイフで刺し、全治1か月の大ケガをさせた罪にも問われています。
重傷を負った男子生徒は「知らない人に刺された」と話し、“通り魔”による犯行も視野に捜査が進められていました。事件から5日後、現場からおよそ1キロの場所に住む平原被告が、男子生徒に対する殺人未遂の疑いで逮捕されました。
捜査関係者によりますと、逃走に使われたとみられる平原被告の車の中からは血がついたナイフが見つかり、刺された2人のDNAが検出されたということです。
平原被告は逮捕当時、警察の取り調べに対し「事件前、被害者2人と目が合った」「女の子が襲いかかってきたので仕方なく反撃した」と話し、殺意を否定していたことが捜査関係者への取材で分かっています。事件直前に別の場所で2人とすれ違ったとみられ、警察は、目が合ったと感じたことをきっかけに、一方的に2人に狙いをつけ、店に先回りして待ち伏せした可能性もあるとみています。
検察は、刑事責任能力=事件の責任を問えるか判断するため、ことし1月から3か月間、事件当時の精神状態を調べる鑑定留置を行いました。
その後、別の専門家による2度目の鑑定留置が行われ、さらに延長が繰り返された結果、平原容疑者の鑑定留置期間は16日まで、8か月にも及びました。
その結果、刑事責任を問えると判断したものとみられます。